京都市 平成17年 2月 定例会(第1回) 02月25日-03号 ○議長(田中セツ子) 休憩前の議事を継続し、質疑を続行致します。山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕
◆(山岸たかゆき議員) 皆さんこんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民主・都みらい京都市会議員団を代表して平成17年度予算案について質疑させていただきます。その際、昨年10月の海外行政調査で参考になった点も踏まえさせていただきました。市長、副市長並びに関係理事者の皆様におかれましては、誠意ある御答弁をよろしくお願い致します。 冒頭、最近私が大変感動したことを申し上げます。先日の2月16日、ついに京都議定書が発効しました。これを記念し議定書が採択された国立京都国際会館の地で盛大に開催された京都議定書発効記念行事に私も出席させていただきました。演壇の方々から京都議定書の持つ意義、地球温暖化防止への確固たる決意が述べられました。桝本市長からも、京都議定書発効を機に環境先進都市として輝き続けるため地球温暖化防止に全力で取り組む決意であるとごあいさつがありました。また世界からのメッセージリレーでは、各国、機関の代表者からお祝いのメッセージが多数寄せられましたが、その際に多くの国でも京都議定書発効の祝賀行事が国を挙げて行われていたことを知りました。私は、この行事に出席して地球温暖化防止という世界共通の課題に世界中の多くの人々が一致団結して立ち向かう第一歩を踏み出す、まさに歴史的瞬間に立ち会っているのだという実感が湧いてきて深く感動しました。それと同時に京都議定書という名の大きさ、その名を冠した都市に住む私たち京都市民の責任の重大さを、ひしひしと感じました。まずこの記念行事に出席されて市長はどのような感想を持たれたのかお聞かせください。 次に議定書発祥の地である本市が地球温暖化防止を一層進めながら、同時にこの京都がもっと元気になる取組についてお尋ねします。本市は、2010年に5,000万人観光都市を実現すべく取組を進めています。最近の状況を直近の平成16年7月発行、京都市観光調査年報平成15年版で見てみると、確かに観光客数は年々増加し、平成15年は前年比3.7パーセント増の4,374万人、平成16年は4,500万人突破が確実視されています。平均宿泊日数も前年に比べ0.04日増加し1.66日ですが、3年前までは1.8日台だったことから若干の落ち込みが見られます。また観光消費額の総額ではここ数年増加傾向ですが、1人当たりの消費額では、前年より400円余り改善し1万960円だったものの、これまでの推移を見ると低落傾向が予想されます。以上、観光客数、観光消費総額は伸びているものの平均宿泊日数、1人当たりの消費額は伸び悩んでいると言えます。私は、昨年10月に海外行政調査でドイツのハイデルベルグ市を訪れ歴史的環境保全と観光振興について勉強して参りました。そのうち観光振興について関係者の話によると、ハイデルベルグ市の場合、宿泊客を増やす取組をしている。日帰り客だと二、三時間滞在するだけで1日の消費額はせいぜい10から20ユーロなので余り良いお客とは言えない。しかし宿泊客だと100ユーロになる。更にもっと消費するのは会議、講習で来る宿泊客で200ユーロになるとのことでした。そこで日本人にハイデルベルグ市で会議や講習をしてもらうため、例えば日本語版でハイデルベルグ市の技術訪問という冊子があり、市の環境政策、エネルギー政策、市政・都市経営、都市計画、社会福祉などあらゆるテーマで講習が受けられたり、企業見学もできるような準備が出来ていました。このように会議、講習でできるだけ観光消費額を伸ばすハイデルベルグ市の取組は、宿泊日数と1人当たりの観光消費額で伸び悩む本市にとって大変参考になるのではないでしょうか。 ところで本市ではどのようなテーマで実施すればよいのかと言いますと、私は、まずは環境ではないかと思います。本市は、京都議定書発祥の地です。この2月16日、ついに京都議定書が発効しました。今から京都議定書約束期間の最終年である2012年まで、京都の名は地球温暖化防止の話題と共に世界中で数え切れないほど口にされることでしょう。実は海外行政調査で姉妹都市のフィレンツェ市も訪問しましたが、お会いした市会議長さんは本市の環境対策に非常に注目していました。議定書発効前でも注目されているのですから、発効後の世界での注目度は抜群ではないかと思います。本市では、実際に地球温暖化防止に関する様々な先進的取組が行われています。例えば昨年の11月市会では、地球温暖化防止に焦点を絞り全国の市町村で初の地球温暖化対策条例を制定しました。また平成10年11月には、京のアジェンダ21フォーラムが設立され、平成13年4月より中小企業向けに費用も少なく規格も易しく分かりやすい京都版環境マネジメントシステムKESを策定、平成17年1月末現在、524組織で認証取得され現在急速に増加する傾向にあります。このほか使用済み天ぷら油を回収し、製造プラントを立ち上げ実際にごみ収集車や市バスの燃料として使用するバイオディーゼル燃料化事業を実施、平成16年度のバイオマス利活用優良表彰農林水産大臣賞や地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受賞しました。現在製造プラントに内外からたくさんの見学者が訪れています。そこで、こうした取組を本市が行っていることを全国に、更には世界に情報発信し、環境のことなら京都に行って会議したり講義を聴きに行こうという仕掛けをすべきではないかと思います。環境の取組で人がたくさん来て観光に寄与すれば、本市として環境にもっと取り組もうという機運が生まれて一層環境に取り組む、それが京都にもっと人を集め更に観光に寄与することになるというよい循環が生まれるのではないでしょうか。新年度、本市は新・体感型観光推進事業を予算計上していますが、その環境版と言えるかと思います。また環境以外にも本市、更には企業等でも誇るべき取組があれば何でも会議、講習のテーマにできると思います。この件について市長のお考えをお伺いします。 新年度、本市は全国環境先進自治体会議の開催、地球環境問題連続セミナーの開講などを予算計上しています。私は、本市が京都議定書で国内外から最も注目を集めていることを契機に、これらを毎年継続して行うことが大切だと思います。更に今後国内のみならず海外の先進的な取組事例も発表し合う場を定期的に本市で設けられるよう、国や京都府、大学、経済界等にも働き掛けていくべきだと考えます。また地球温暖化を含む世界の様々な環境問題を研究し、国内外に情報発信している本市が誘致に奔走して設立された総合地球環境学研究所がありますが、そことの連携を密にしていくことも必要ではないでしょうか。そしてそれらの成果を本市にフィードバックし、本市が更に環境で先進的な都市となれるようにすべきではないでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。 また本市自身も地球温暖化防止に真剣に取り組んでいかなくてはなりません。地球温暖化対策条例に掲げた当面の目標が平成22年までに温室効果ガスの排出量を平成2年の805万トンの10パーセント削減、すなわち725万トンまで削減となっているからです。そのためには市民、事業者、観光客の皆さんに御協力いただくと同時に、本市自らあらゆる知恵を振り絞って頑張らねばなりません。そこで市長が旗振り役となり、各局、区がそれぞれ何か一つ地球温暖化防止政策を掲げて取り組む、そしてお互いがその達成状況を競い合うようなことができればどうかと思います。一村一品運動ならぬ一局、区一地球温暖化防止運動を実施すればいかがでしょうか。そのことが本市における地球温暖化防止の新たなメニューとなり、それが更なる会議、講習の誘致につながり観光振興に寄与することにもなるのではないでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。 次に教育問題として子供の体力向上、生活習慣の改善について質問致します。昨年12月に経済協力開発機構より40箇国、地域の15歳を対象にした2003年実施の生徒の学習到達度調査の結果が公表されました。それによりますと、日本の高校1年生は実施4分野のうち読解力が前回の8位から14位に、数学的応用力も1位から6位に下がる結果となりました。文部科学省は、この結果から日本の学力は国際的に上位だが、最上位とは言えないと大きな危機感を抱いています。そのことも引き金となり、中山文部科学大臣は、総合的な学習の時間の削減も含めた教育課程の見直しが必要だとの考えから先日学習指導要領を見直すよう中央教育審議会に要請することを決めました。今、学力向上を巡って日本の学習指導の基本方針が大きく揺らいでいます。ところでローマの詩人ユウェナリスの有名な詩の一節に、健全なる精神は健全なる肉体に宿るがあります。確かに子供の学力向上は教育で最も大切な事柄ですが、私は、学力向上の基礎となる子供の生きる力をはぐくむ体力向上、生活習慣の改善も同様に大切ではないかと思います。平成14年9月30日に中央教育審議会から、子どもの体力向上のための総合的な方策についてが答申されました。それによると、体力は活動の源であり、健康維持のほか意欲や気力の充実に大きくかかわっており、人間の発達、成長を支える基本的な要素であると位置付けられています。次に体力低下の原因として、生活が便利になり体を動かす機会の減少、スポーツや外遊びする時間、空間、仲間の減少、指導者が少ない、指導の工夫が不十分、偏った食事や睡眠不足など生活習慣が乱れていることを挙げ、その結果、子供の体力、運動能力は昭和60年ごろから現在まで低下傾向が続いている。また肥満傾向の子供の割合が増加しており、将来の生活習慣病につながるおそれがあると分析しています。また先日、百ます計算で有名なマスコミにもよく登場されている尾道市立土堂小学校長の陰山英男さんから直接お話を伺いました。それによると、最近の子供の学力、体力、気力が低下しているが、それらを向上させるには、まず基本的な生活習慣、すなわち早寝、早起き、朝御飯を習慣付けることで体力、気力が向上し、そのうえで百ます計算や漢字練習の反復学習で基礎学力を付けて学力向上を目指すことが大切とのことでした。また実際それを御自分の学校で実践されて成果が上がっているとのお話でしたので非常に説得力がありました。本市においても、体力向上策として小学校では平成14年度から小学校部活動を学校教育活動の一環として実施したり、子供の体力向上推進事業として、昔遊び、用具遊びの用具の整備、親子スポーツデー、徒歩遠足や登山の奨励、休日地域児童スポーツクラブのモデル事業に取り組んでいます。また中学、高校では、運動部の運営が困難な場合、ブロック内の他校の運動部に参加できるブロック内選択制部活動や合同部活動などに取り組んでいます。また長年にわたり体力テストを実施したり、各学校の自主的な判断で生活習慣実態調査を行い生徒の個別指導に活用したりしています。しかし体力向上や生活習慣の改善は、家庭も巻き込んで取り組まないと改善しない性格のものです。特に女性の社会進出が進んでいるため子供さんのお世話に掛ける時間が少なくなる傾向ですし、学校側から単に改善を呼び掛けるだけではなかなかうまくいかないのではないでしょうか。保護者の方にもっと目に見える形で体力、生活習慣の実態をお知らせし、それを改善していくことがひいては学力向上につながることをデータではっきりと示して動機付けを図ることが極めて大切だと考えます。そこで体力実態調査と食生活を含む生活習慣実態調査を本市統一で毎年度の前半、後半で実施、必ず本人、保護者に内容をフィードバックして子供の家庭内での生活改善に役立ててもらうべきではないかと思います。できれば通知簿に体力、生活習慣の実態を平均値と共に掲載すれば生活改善の動機付けになり説得力のあるものになると思います。教育長のお考えをお聞かせください。 本市は約10万人の生徒さんを抱えているとお聞きしています。全員に調査するのは予算上困難な面があるかもしれません。そういう場合は、例えば大学や民間の研究機関とタイアップして経費削減に努める、全員実施でなくモデル実施にするなど工夫していただければと思います。また一層実効性を持たせるために、教師の皆さんが体力向上、生活習慣改善に対する意識を強く持っていただく必要があります。体力向上、生活習慣改善に関する研修をしっかり行っていただくことが大切です。平成17年度から栄養教諭の配置も可能となりますが、専門的見地から体力向上及び食生活のみならず生活習慣全般について改善を指導できる体制整備も必要ではないかと思いますが、教育長のお考えをお聞かせください。 次に安心安全ネット戦略プランと地域の防災力向上について質問させていただきます。昨年は災いの災の一字に象徴されるように台風が日本に過去最多上陸し、特に台風23号は京都府北部に甚大な被害をもたらしました。その数日後には新潟県中越地震が発生し今なお多くの方が不自由な生活を強いられています。更に年末にはスマトラ沖大地震と大津波が周辺諸国を襲い20万人を超える犠牲者を出す大惨事となりました。年が明けても世界各地で寒波や水害で大きな被害が出ています。こうした災害を教訓に今年は防災にしっかり取り組む年にしなければならないと思います。1月17日、阪神・淡路大震災から10年を迎えました。その際、兵庫県及び神戸市の首長が記者会見で共に教訓として述べられたのは、防災に大切なのは地域の中での人と人との支え合い、きずなをどう強めていくかです。またその直後に神戸市で国連防災会議が開かれました。その中でまとめられた兵庫行動枠組みの一つが地域社会のレベルで防災体制を整備し対処能力を向上するでした。このように防災対策の中でもとりわけ地域の防災力向上が求められていると言えるのではないでしょうか。この度ますもとマニフェストの三つの重点戦略の一つ、京都市安心安全ネット戦略プランの素案が発表されました。市民の暮らしの安心安全を脅かす問題として、犯罪や迷惑行為、事故、自然災害、環境問題、食の問題、健康問題、生活上の問題など様々な問題があります。自然災害のみならず様々な問題解決に当たり、行政だけでなく市民の主体的な行動や地域の取組により地域の住民同士の総合的かつ強力な安心安全のネットワークづくりを進めるのがこの戦略プランの狙いです。新年度このプランを推進する事業として、ハンドブックの作成、全戸配布、フォーラムやコミュニティトークの開催、ホームページの開設を予定しています。そこで地域の住民同士の総合的かつ強力な安心安全のネットワークづくりを進めるためには更なる取組が必要だと思いますが、本市として今後このプランをどのように進めていかれるのかお伺いします。 ところで地域の防災力向上についてですが、本市では、これまでその取組に力を注いできました。特に学区単位で結成された自主防災会は、平成11年3月30日をもって市内221学区すべてで組織されています。ちなみに組織率100パーセントの都市は、東京都23区及び13政令都市の中では、京都市を含め3都市しかありません。更に自主防災会の下部組織である町内単位で結成された市内約6,200の自主防災部ごとに防災行動計画を策定する身近な地域の市民防災行動計画づくりを推進しており、平成16年9月末現在で2,313の自主防災部で策定済み、2010年までに全自主防災部で策定すべく取り組んでいます。また新年度は、市民防災会議を設置し、行政区単位で自主防災会と情報交換を行うことも予定しています。このように他都市にはない先進的取組を本市は推進してきましたが、地域の防災力をなお一層向上させる取組として一つ提案があります。2月1日現在、全体の2.5パーセント、100名の方が消防団員として活躍されたり、また別の形で地域の防災力向上のため御尽力されている市の職員さんが多数おられることは十分承知していますが、地域の防災力を更に向上させるため、日ごろ市民の皆さんのために仕事をし市民の皆さんの安心安全を守る使命感に燃えている市の職員の皆さんが防災の知識、技能を身に付け率先垂範して居住地域の中でリーダー的な役割を担っていただくと良いのではないでしょうか。ちなみに本市の正規職員の皆さんは、教職員も含め合計2万2,422人です。そのうち市内在住者は1万6,065人で市内在住率は7割を超えています。全人口は146万4,000人程度なので、本市人口に占める割合は1.1パーセントとなり100人に1人は市の職員の皆さんという計算になります。これは1学区当たり70人以上の数字となり、地域の防災力を高める際の大きな戦力になるのではないでしょうか。本市では、平成11年度から市民防災センターを活用し1日ないしは半日掛けて管理職や新規採用職員に対する防災教育や防災危機管理教育を実施しています。これまでの実施回数と受講者数は142回3,621人です。よって受講者の割合は全職員の16パーセントにとどまっています。そこで、私はできれば市の職員の皆さん全員が防災に関する研修を受けられ、それぞれ居住する地域の中でその知識と技能を生かしていただければと思います。また防災以外にも地域の安心安全のネットワークづくりに寄与する知識、技能があると思いますので、そうした研修を順次全員受けていただいた後、地域で生かしていただくような体制ができれば安心安全ネット戦略プランの推進にも貢献し、市の職員の皆さんが地域の中で取り組んだ成果がひいては職員の皆さんの今後の仕事のやりやすさとなって返ってくると思います。お考えをお聞かせください。 最後に地元伏見区に関係する高度集積地区について質問します。本市におけるまちづくりの枠組みとして北部は保全、都心部は再生、南部は創造と位置付けられてきました。その中でも高度集積地区は、本市南部地域に新たな都市機能の集積を誘導する南部創造のまちづくりの中核を担っており、油小路通を中心としておおむね北は十条通、南は宇治川、東は高瀬川、西は国道1号線に囲まれた約607ヘクタールの地域です。これまでの主な取組を振り返りますと、まず平成10年4月に高度集積地区整備ガイドプランが策定され、元気な未来を開く新京都・フロントシティの創造をテーマに、豊かな自然、歴史的環境と新しい活力が調和した先端的創造都市となることを目標に創造型産業の集積するまちづくり、環境文化を創造するまちづくり、多様な人材が交流するまちづくり、災害に強いまちづくりの四つの観点からのまちづくりを目指しています。平成12年3年には、住民、企業、団体、大学、行政等から成る高度集積地区整備推進協議会が設立され、地区の将来ビジョンを共有し課題解決に取り組む体制が整いました。そのうえで、まずは創造型産業の集積するまちづくりを目指し主に三つの点で企業が進出しやすい環境整備を行ってきました。一つ目は企業立地支援で、都市計画制限の見直し、用地取得のための世話活動、補助金の交付です。二つ目はバス交通網の拡充で、京阪中書島駅のバスターミナル整備などによって油小路通を経由するバス便を大幅に増加させました。そして三つ目が産業集積をリードするプロジェクトの創造です。現在、産業支援等複合施設の基本計画を検討中ですが、私は、高度集積地区の飛躍はここで何をするかに懸かっていると思います。高度集積地区の場合、既に一定数の企業が集積しています。直近の統計では、事業所数で2,298社、従業員数で4万3,984名です。よって産業支援といっても新産業創出の支援ではなく、現在集積している企業や今後集積予定の企業の役に立つ機能が備わった施設にする必要があるのではないでしょうか。中でも中小企業は、製造業を例にとれば技術的にすばらしいものを造ったとしても製品デザインに訴えるものがない、どこに売ればいいか分からない、今後どんなニーズがあるのか把握していないなど生産、販売のあらゆる段階で大手企業に比べハンデを負っているケースが多いと考えられます。新年度、京都ものづくり企業縁むすびプロジェクトで販路拡大の支援が予定されていますが、生産、販売の段階ごとに中小企業の弱い点をサポートし業績を更に伸ばすような、製造業に限らず商業など非製造業も含めた産業支援の機能を持った施設を是非基本計画に盛り込んでいただきたいと思います。またそういう支援を受けるには、高度集積地区に立地していないと支援の資格がないなど制限を設ければ企業誘致に拍車が掛かるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。 また創造型産業の集積するまちづくりに一定のめどが付いた段階で、環境文化を創造するまちづくり、多様な人材が交流するまちづくり、災害に強いまちづくりにもしっかり取り組み、真に本市の21世紀の発展をリードする魅力あるまちにしていただきたいと思います。中でも高度集積地区が議定書発祥の地京都の名に恥じない地球環境に優しいまちになるように、そして実際に多くの人々が住んでみたい、行ってみたいと思えるような、そこに生活がありにぎわいがあるような、単に企業だけが集積、交流するまちでなく多くの人が集積、交流する京都の新たな魅力あるまちになるよう是非整備していただきたいと思います。また隣接する伏見区の中心市街地との十分な連携が取れるようにも御配慮いただきたいと思います。お考えをお聞かせください。以上で私の質疑は終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中セツ子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼) 山岸たかゆき議員の御質問にお答え致します。 京都議定書の発効についてでございます。本年2月16日、世界の人々が切望しておりました京都議定書が7年有余の歳月を経てようやく発効致しました。私は、この発効を機に国際環境自治体協議会の会員など500を超える世界の自治体に対し、共に行動する旨のメッセージを発信したところ、これに対し熱い共感のエールをお受けすることができました。(発言する者あり)アメリカからも来ました。この人類の歴史に残る日の記念行事において、私は、世界各地で発効に御尽力いただいた方々をはじめ、ここ京都にお集まりいただきました1,200名を超える皆様と京都議定書発効の喜びを共有致しました。また地球温暖化防止に注がれている世界中の人々の情熱を肌で感じ深く感動するとともに議定書誕生の地の市長として使命の重さを改めましてしっかりと受け止め決意を新たにしたところでございます。私は、この感動と決意をしっかりと胸に抱き、今後ともこの恵み豊かな地球環境を良好な状態にして未来に引き継ぐため、市民、市民団体、事業所の皆様の御協力を得ながら市会の先生方と共に地球温暖化対策に全力をもって取り組んで参ります。 次に環境保全と観光振興についてお答え致します。京都市では、地球温暖化対策防止京都会議いわゆるCOP3の開催都市として会議の開催を記念し、京エコロジーセンターを設置するとともに廃食用油のバイオディーゼル燃料化事業や京都初の環境マネジメントシステムであるKES等の多彩な政策に全国に先駆けて取り組んで参りました。また環境や自然を大切にするエコツーリズムの観点から京都一周トレイル事業などに取り組むとともに本市の誇る環境学習施設である京エコロジーセンターを修学旅行の見学地として紹介しております。議員御提案のとおり、これまで以上に広く京都市の優れた環境施策を観光振興の一環として採用していくことは大幅な増加が予想され、また産業観光に対する関心の高い東アジア地域からの観光客誘致対策としても大変時宜を得た取組であると考えております。今後、京都市の環境政策や関連企業の施設など広く環境分野の取組を観光資源として活用できるよう検討を進めて参りたいと考えております。 次に環境に関する会議の開催等についてでございます。地球温暖化対策を進めるためには、全国各地で先進的な取組を進める自治体、事業者、NPO等の実践事例の紹介や情報交換の機会を設けること、また皆様に温暖化問題に関する様々な知識を習得していただく機会を設けることが是非とも必要でございます。このため京都市では、平成17年度に京都議定書発効という記念すべき日である2月16日を視野に入れ、仮称全国環境先進自治体会議を開催したいと考えております。また市民講座として地球環境問題連続セミナーも開講して参りたい考えでございます。今後につきましては、これらの会議の実施結果を踏まえて、国内のみならず海外の先進事例の紹介の場も含めて、その在り方を検討することと致しております。また研究機関、大学、経済界等との連携も重要であります。中でも京都市が誘致致しました総合地球環境学研究所は、第一線の地球環境問題の研究者が集まる世界的な研究機関であり、貴重な研究成果を本市施策にも活用できるよう今後十分な連携を図って参りたいと考えております。 一局、区一地球温暖化防止運動についてでございます。地球温暖化対策は、観光、産業、交通、市民生活をはじめとしたすべての行政領域や事業にかかわりを持つことから、京都市ではすべての行政領域で環境を基軸とした政策を展開することとしており、各局、区においてこれまでから環境負荷低減に向け取組を進めてきたところでございます。こうした認識をもって、それぞれの局、区が主体性を持ちそれぞれの施策や事業の中で知恵を絞り、創意工夫して積極的な温暖化対策の展開を促進することこそが、議員御提案の一局、区一地球温暖化防止運動につながるものと考えております。議定書誕生の地京都が地球温暖化防止に向けた様々な事業の成果を日本全国、更には世界に発信することで国内外からの訪問者が増え、観光振興にも寄与するものと考えております。今後とも私が先頭に立って環境先進都市京都の実現に向けて邁進して参る所存でございます。 以下、副市長及び教育長が御答弁申し上げます。
○議長(田中セツ子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕
◎副市長(高木壽一) 安心安全ネット戦略プランについてお答え致します。この度取りまとめました安心安全ネット戦略プランの素案は、京都市が市民生活を守るために進めて参りました各種の取組を横断的に総点検し施策をより一層効果的に推進するとともに、京都ならではの地域力を重視した安心安全ネットを形成することを目指しております。議員御質問の地域の総合的かつ強力なネットワークづくりを進めて参りますために、今年度4箇所のモデル学区で地域の安心安全ネットワーク形成事業を実施致しました。平成17年度には、残る区と支所の10箇所の学区でモデル事業を実施致しますとともに平成16年度の4モデル学区での取組の継続、充実はもとよりその区における他の学区への取組の拡大を図って参ります。更には、できるだけ早期に市内全221学区に地域の安全安心ネットを広げ、戦略プランに掲げる安心安全のまち京都の実現に向けまして全力を挙げて取り組んで参る所存でございます。以上でございます。
○議長(田中セツ子) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕
◎副市長(毛利信二) 地域の防災力向上のための職員研修についてでございます。大地震など大規模災害が発生しましたときには、家庭や事業所、地域、行政が総合的な防災力を発揮することが求められます。公助を担う本市職員としては、地域防災計画に基づいてそれぞれの職場で災害応急活動に全力で取り組むこととなります。そのため本市では、職員がその役割を十分に果たすことができるよう各職場の管理監督の立場にある職員を中心に防災リーダーとして位置付けまして、平成11年度から防災教育を実施し防災に関する知識や災害時における判断力、行動力の向上に取り組んできたところでございます。議員御指摘のように、職員がこうした防災教育等により身に付けました防災に関する知識や行動力などは、平常時においては地域の自主防災活動の中で生かされ貢献することが期待されますので、防災教育におきましても消防団や自主防災会の活動の紹介あるいはその重要性について理解を深めてもらうよう努めております。また地域コミュニティの活性化は、防災や安心安全の面からだけではなく行政全体にもかかわる課題でございますので、防災教育の内容の充実や今回策定致します安心安全ネット戦略プランの職員への周知を図るなど、地域での職員の自主的な活動が今後更に活発なものになるよう取組を検討して参ることと致します。 次に高度集積地区についてであります。まず産業支援等複合施設の機能についてお答え申し上げます。議員御指摘のとおり高度集積地区には、既に多くの企業が集積しておりますが、まだまだ起業家育成施設を卒業した企業の移転先として、あるいは市内外の企業に対する立地誘導先といった産業振興拠点としての役割が期待されております。このため高度集積地区での整備を計画しております産業支援等複合施設は、ベンチャー支援にとどまらず既存の企業や立地を誘導する企業などに対して一層の成長を促進する機能を備えるものとしなければならないと考えております。現在、地区内の企業を対象と致しましてマーケットの動向を反映させた製品づくりのための支援策や中小企業のネットワーク化などの検討を行っておりまして、今後とも充実した産業支援機能を持った施設となることを目指し関係機関の協力も得ながら基本計画の策定に取り組んで参ります。 次に高度集積地区のまちづくりについてでございます。高度集積地区におきましては、新しい京都を創造し高度な都市機能が集積されるよう、民間活力を誘導して元気な未来を開く新京都・フロントシティの創造を目指して参りました。研究開発型の産業が集積し多様な人材が交流するとともに、災害に強くかつ環境との共生を図る先端的創造都市となることを目標に致しまして、これまでに都市基盤の整備や都市計画制限の見直し、企業の立地促進などに取り組むなど豊かな自然、歴史的環境と新しい活力が調和したまちづくりに努めてきたところでございます。今後とも南部創造のまちづくり推進プログラムに沿って、伏見区基本計画や中心市街地活性化基本計画に掲げられましたまちのにぎわいの創出に向けまして高度集積地区と伏見区中心市街地との有機的な連携の実現を図って参りたいと考えております。以上でございます。
○議長(田中セツ子) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕
◎教育長(門川大作) 子供たちの体力についてでありますが、御指摘のとおり学力をはじめ子供たちの発達の基礎となるものであり、本市では昭和45年度から継続してすべての子供たちの体力、運動能力調査を実施し体育の授業などの教育活動に役立てております。また生活実態に関しましては、起床や就寝時間、朝食の喫食状況、放課後や休日の過ごし方などについて、ほぼ全校で子供たちの実態に即して独自に調査し、これを基に学級指導や家庭訪問などの場で保健指導や生活指導を行っております。もとよりこうした取組の効果を高めるためには、家庭と学校の連携が不可欠であります。これまでから各学校で生活改善の指導等を内容とする保健だよりや通知表と共に保護者にお渡しする発育や体力の状況等を記載した健康の記録を通じて保護者と共通認識を深め、児童生徒の体力向上、生活改善に努めて参りました。更に来年度には睡眠、食事、テレビの視聴時間などを内容とする全市共通の家庭での生活習慣調査を抽出により実施、大学や研究機関等の協力を得て専門的観点から分析した結果やPTAと共に作成を進めております家庭学習の手引を活用し、よりきめ細かな指導を展開することにより家庭における基本的生活習慣の確立を目指して参ります。 教職員研修につきましても、御指摘のとおり教職員が子供たちの体力、生活習慣の実態や改善の必要性を深く理解することが極めて重要であり、これまでから食及び健康や体力に関する研修を年間約30講座実施しており、調査結果を的確に踏まえた研修内容の一層の充実を図って参ります。また栄養教諭につきましては、来年度から資格取得のための講習を開始するとともに国の計画も踏まえ18年度から計画的に配置し食生活をはじめ生活指導に努めて参ります。今後ともこうした取組を通して子供たち一人一人の体力向上と生活習慣の改善に家庭と共に努めて参ります。以上でございます。