京都市 平成25年 9月 定例会(第4回) 10月02日-04号 ○副議長(隠塚功) 次に,市政一般について,山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕 ○副議長(隠塚功) 次に,市政一般について,山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕 ◆(山岸たかゆき議員) 皆さん,こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。先の今枝議員,後の山本議員と共に,民主・都みらいを代表して質問します。 最初に,京都市を襲った台風18号について申し上げます。幸い人的被害はほとんどなかったものの,床上・床下浸水の建物被害,土砂崩れ等の道路被害や通行規制,鉄道,バスの運休など大きな被害をもたらしました。被災された市民の皆様にこの場をお借りして心よりお見舞い申し上げます。また,水害における各種団体の皆様の御尽力に深く感謝いたします。現在京都市では,全庁挙げて災害復旧に懸命に取り組むとともに,補正予算も提案いただいたことは大変心強い限りです。私たち議員団も速やかに災害対策チームを設置し,民主党京都府連内の京都豪雨災害対策本部と連携し被害状況を把握しつつ,市民の皆様の相談に応じる活動を鋭意進めております。また,9月19日には議員団として門川市長へ台風18号による大雨洪水被害対策に関する要望を提出し,一日も早い復旧と被災者の生活再建を強く要望しました。今も被災されお困りの市民の皆様がいらっしゃることと存じます。私たち議員団一同,京都市としっかりと連携し,被災された市民の皆様が一日も早く普段の生活に戻れるよう全力でお支えすることをお誓いいたします。京都市におかれては今回の水害を教訓に地域ごとに市民の皆様の声をお聴きし,国,京都府と協調してなお一層災害に強いまちづくりに取り組まれるようお願いいたします。 それでは平成24年度決算についてお尋ねします。この度は実質収支の黒字を拡大し,全会計で前年度比85億円増の176億円,一般会計で前年度比約5億円増の19億円となりました。その要因として,一般財源収入が落ち込む中,総人件費の削減や事業の見直しなどの行財政改革を推進したこと,市バス,地下鉄の経営健全化が成果を上げ,特に市バスにおいては計画より3年前倒しで経営健全化団体から脱却できたことなどが挙げられます。また,実質市債残高についても,市債発行額の総額を市債償還額の総額以下に抑えることにより,全会計で前年度比302億円,一般会計で前年度比178億円それぞれ縮減し,将来にツケを残さない取組も着実に進められました。しかし本市の財政状況を見てみると,今後とも市税収入及び一般財源収入の増加が見込めるかどうかは依然不透明な状況です。その一方,社会福祉関連経費は国と同様に着実に増加し,平成24年度決算においてはほぼ市税収入に匹敵する規模となっています。さらに,実質市債残高は着実に縮減しているものの,臨時財政対策債を含む市債残高は増加している状況です。 以上から,今後の財政運営において,1,京都の強みを最大限にいかした成長戦略の推進については,その効果をしっかり検証し効率よく進めること,2,医療費をはじめとした社会福祉関連経費については,極力サービスを低下させることなく市民の皆様の御協力を得ながら増加に一定の歯止めを掛けること,3,市債残高については,国への働き掛けを含め,臨時財政対策債も視野に入れた総額を縮減するための取組を強めることが大変重要と考えます。そこで,今回の決算の総括と今後の財政運営についてお考えをお伺いします。 次に,リニア中央新幹線京都駅ルートの実現について質問します。私は,3年前の平成22年,国において中央新幹線の整備計画が具体的に議論され始めた頃,5月市会定例会の代表質問でこの問題を取り上げました。その重要性を御理解いただき,6月には本市の国家予算要望活動において京都ルート実現を早速要望していただきました。その後,毎年,国家予算要望に取り上げられ,平成24年からは一番目で,かつ京都府と共同の要望項目となっています。実は京都の行政,議会,経済界のトップから成る京都府中央リニアエクスプレス推進協議会が平成2年に設立され,その後,毎年,国に対し京都ルートの実現を要望していましたが,効果を上げるには至りませんでした。それが平成24年9月の総会で,京都,関西,全国レベルでの要望や啓発活動を柱とする取組を確認し,リニア誘致に向け本腰を入れた活動が始まりました。今年に入り5月に京都の未来を考える懇話会で,30年後の京都の姿を示す京都ビジョン2040の最終提言で京都駅ルート推進が明記されました。また,9月には府市懇談会で京都駅ルート実現を関西広域連合に働き掛けることで門川市長と山田知事が合意,ますます活動が強まっています。昨年末からは積極的な広報活動も始まっています。京都府リニアエクスプレス推進協議会では,PRポスターの掲示,チラシの配布やロゴマーク名刺シールの配布,最近では約7,000台のタクシーの後部窓にPR広告の掲出などを行っています。本市も独自に市民しんぶんをはじめ,新聞,テレビ,ラジオ等でPRし,リニア誘致のムードを盛り上げようとしています。そうした活動が功を奏し,民間レベルでもリニア誘致の機運が高まりつつあります。例えば,京都観光おもてなし大使等を中心に,「リニアを,京都へ。」京の会が結成され,署名活動が展開されていますしPRポスターの作成も進んでいます。10万部発行の月刊情報誌の御厚意で毎回1ページをリニア誘致PR用に無償提供もしていただいています。また,全国の文化,学術,経済界などの著名人に賛同の輪を広げる活動により,約150名が集まりました。この間,京都市会も平成22年9月にリニア誘致の決議を採択,平成24年10月には議員連盟も結成されました。私もその一員として議員連盟の皆さんと共に京都駅ルートの実現を目指し全力で取り組んでまいります。 ところで,最近リニアに関する動きが活発となってきました。今年8月,山梨実験線の走行試験を営業車両L0系で再開,9月には環境影響評価準備書を公表し,東京~名古屋間の駅の位置や詳細ルートが発表されました。来年度早期の工事着工も予定されています。これで東京~名古屋間の整備計画は実行段階となり,次はいよいよ名古屋~大阪間の整備計画の具体化ですが,国とJR東海は奈良市付近とした現行の整備計画どおりに手続を進める態度を変えておりません。そこで,リニア中央新幹線京都駅ルートの実現に向け,1,国への働き掛けを強める,2,リニア誘致の機運を盛り上げる,3,リニア誘致が当然と思わせるだけの説得力のある情報を発信するとともに都市の魅力を一層高めるの3点について取組強化に向けたお考えを具体的にお聞かせください。 次に,海外の取組に関し1点要望と1点質問します。私は,今年1月26日から2月4日までの日程で,主に再生可能エネルギーの先進事例を調査するため京都市会海外行政調査団の団長としてドイツとスペインの諸都市を訪問しました。現地では本市の取組事例を紹介する一方,日本と異なる考え方,文化をベースとした様々な取組を学べ大変有意義な調査となりました。今回の調査を踏まえ,私たち調査団は,3月13日,市庁舎整備の基本構想へ意見書を提出する,5月14日の報告会の場で市政へ政策提言するなど単に調査するだけでなく,調査で得られた知見を市政に積極的にいかす取組も行いました。政策提言は次の4点です。1,建物の省エネ化,新築,既築とも建物自体の省エネ性能を向上させる,2,山間地域におけるエネルギーの自立化と林業振興,山の資源をいかしエネルギー産業で地域経済を活性化させる,ドイツ型林業の導入,3,本市の率先垂範,今後整備予定の市庁舎を環境,エネルギー政策のシンボルにする,市営住宅の省エネ改修,4,原子力分野の専門家の確保です。既に市政にいかされた提言もありますが,今後順次いかしていただけるよう要望いたします。 ところで,門川市長は,9月2日から4日まで韓国水原市でのイクレイ(持続可能性をめざす自治体協議会)東アジア地域理事会や関連事業に議長として出席されました。先ほど申し上げたように,海外の事例を本市の政策にいかすとともに,本市の誇れる取組を海外に発信することの重要性を門川市長も会議に出席しながらその思いを強くされたのではないでしょうか。東アジアは世界の温室効果ガスの約3割を排出しており,地球温暖化の進行を食い止めるのは,中国をはじめ成長著しい東アジアの国々の取組いかんに掛っています。急速な発展の一方,公害などの環境問題で悩んでいる国も少なくありません。PM2.5といった有害物質が海を超えて日本に降り注ぐ時代です。環境技術で世界をリードする日本が東アジアで先導的な役割を果たすことが強く求められているのではないでしょうか。しかし今,国レベルでは領土問題や歴史認識で対立が続いており連携して取り組む雰囲気ではありません。こういう時こそ国レベルでなく自治体レベルで,地球温暖化対策をはじめ環境問題でお互い連携し問題解決に当たることが重要ではないかと思います。そこでイクレイ東アジア地域理事会議長である門川市長の決意と今後の抱負をお伺いします。 ところで,今年5月までの1年間,私は京都市会副議長を務め,大変貴重な経験をさせていただきました。その時に強く感じたことを質問します。京都市会では,毎年11月3日に市内在住及び在学の小学校4から6年生の生徒,その保護者を対象に親子ふれあい議場見学会を実施しています。多い年では100名を超える親子が参加されます。私は,議会を代表し本会議場に集まった皆様へ議会の役割についてお話しした後,記念撮影に加わりました。その際,子供たちと握手し,参加への感謝の意を伝えると,「副議長に握手できた」と大層喜んでくれたことが大変印象に残りました。後ほど届いたお礼の手紙にも本会議場を見学できた喜び,議会の役割がよく理解できたこと,地方政治への関心が高まったことなどが実に生き生きとつづられておりました。昨今は政治への関心,特に若者の政治への関心の低下が叫ばれており,そのことは過去からの若者の投票率の推移にはっきりと表われています。それが今後も長く続くと,全世代にわたる政治への関心の低下につながることになりかねません。 財団法人明るい選挙推進協会が平成22年1月に取りまとめた若い有権者の意識調査によると,学校で政治,選挙を学んだ記憶がある人とない人では,政治,選挙への関心に有意な差があるとのことです。調査結果を踏まえ,小中学校レベルの早い段階から政治,選挙教育の展開が望まれるとも述べています。本市においても学校で地方議会に関する一定の学習は行われておりますが,時間は限られており,必ずしも子供たちに地方議会を学んだことを強く印象付けることにつながっているとは言えません。実は先ほど紹介した親子ふれあい議場見学会のほかに,小学校高学年及び中学生を対象に市役所開庁日で市会閉会期間,通常年140日余りの間は子ども議場見学が用意されています。しかし平成24年度までの過去5年間を平均すると1年当たり数校程度です。平成24年度の市役所関連施設の見学のうち水道関連施設が150校以上であるのと比べると大変少ない状況と言わざるを得ません。見学後,お礼の手紙や感想文が市会事務局に寄せられますが,親子ふれあい議場見学会の子供たちと同様,見学したときの感動が素直に表現されているものばかりでした。そこで,子ども議場見学を活用するなど,地方自治は民主主義の学校と呼ばれる基となる地方議会を身近に感じ,政治への関心を高める教育を充実させる必要があると考えますがいかがですか。
○副議長(隠塚功) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えします。 まず台風18号の被災者支援に引き続き全力を挙げますとともに,災害に強いまちづくりへ努力してまいります。 さて,決算の総括と今後の財政運営についてでございます。昨年度におきましては,京都経済の再生,雇用の創出,安心安全を最優先に政策を力強く推進するとともに,全庁挙げて行財政改革を更に徹底しました。また,市民の皆様の御理解を得て過去最高の市税徴収率を達成することができました。さらに市バス事業が計画よりも3年前倒しで経営健全化団体を脱したことなどにより,一般会計,全会計共に実質収支の黒字を維持,拡大することができ,財政健全化の取組が着実に進んでおります。しかし市民一人当たりの市税収入は他の政令指定都市平均を大きく下回り,構造的に財政基盤が脆弱なうえ,山岸議員御指摘のとおり,社会福祉関係経費の増加傾向が続くなど本市財政は依然として極めて厳しい状況にあります。このため行財政改革を更に徹底するとともに,「京プラン」実施計画に掲げた京都の強みをいかした多彩な成長戦略を効果的,効率的に推進することにより将来の税収増につなげてまいります。また,社会福祉関係経費の増加に対しましては,例えば社会福祉施設の民間委託など民間活力の更なる導入や京都の地域力,市民力をいかした医療,介護,福祉の連携による京都市版地域包括ケアシステムの構築,さらには市民の皆様の日頃からの健康づくりや検診での病気の早期発見,早期治療による医療費の適正化などが大切と認識し推進してまいります。これらにより極めて厳しい財政状況の中にあっても,市民の皆様の命と健康をしっかりと守る取組を進めてまいります。さらに臨時財政対策債を除いた実質市債残高を着実に縮減するとともに,国に対しまして他の政令指定都市とも連携し,地方交付税の法定率を引き上げ,臨時財政対策債の廃止を引き続き強く求めてまいります。これらの取組を着実に進めることにより,持続可能かつ機動的な財政運営の確立を目指してまいります。 次に,リニア中央新幹線の京都駅ルートの実現でございます。東京・名古屋間の詳細な計画が公表され,国民の関心が非常に高まっております。今だからこそ名古屋・大阪間について東海道新幹線の老朽化や事故に備えた第二新幹線として40年前に決められたルートを踏襲するのではなく,日本の未来のために国家戦略として大きな議論が極めて重要であります。これまで国土交通省を中心に要望を行ってきましたが,次のステージとして議員連盟の先生方とも一層連携を深め,国政の場で議論いただけるような取組を進めてまいります。また,関西広域連合に提案し,東京~大阪間の同時開業については広域連合としても国に要望することとなり,さらに関西全体として最適のルートについて広域連合の広域インフラ検討会のテーマの一つとするまでになりました。一層具体的な議論が深められるよう積極的にあらゆる機会を捉えて働き掛けを強めてまいります。 また,山岸議員御指摘のとおり,市民の皆さんによって結成された「リニアを,京都へ。」京の会による署名やポスターの掲示などの活動も始まりました。大変心強い限りであります。こうした市民の主体的な取組とも更に連携を深め,京都誘致の機運を高めてまいります。 京都駅ルートの実現は,東海道本線,湖西線,山陰本線などと連結し,より広いエリアの中にリニアの整備効果を享受していただけます。最新データを基に,京都駅ルートについて費用対効果などの優位性を更に分りやすく示すとともに,想定されるリニア京都駅の場所や構造など客観的に検討する委員会を早急に立ち上げ,資料を広くお示しするなど具体的に訴えてまいりたいと考えています。1000年を超えて日本の国土軸の中心にある日本の精神文化の拠点都市・京都,世界の方々を魅了し続ける京都がこれからも我が国の文化首都として使命を果たせるよう,市会の先生方の御支援を賜わりながら京都駅ルートの実現,大阪までの全線同時開業,関西国際空港までのリニアの延伸,この三つを全力で取り組んでまいります。 次に,東アジアにおける環境問題の取組についてでございます。京都市は,京都議定書誕生の地として,桝本前市長の提唱により創設された気候変動に関する世界市長・首長協議会とも連携し,観光分野での国際的な自治体連携組織であり,国連とも連携しているイクレイにおいて,世界規模の地球温暖化対策について先駆的な役割を今日までも果たしてまいりました。このような中,本年9月に私が議長として韓国・水原市で開催したイクレイ東アジア地域理事会では,中国におけるPM2.5をはじめ大気や土壌,水質汚染等の対応や全世界の24パーセントを排出している温室効果ガスの削減が喫緊の課題とされました。そして中国の自治体がいかに主体的に環境問題に取り組んでいただくかということを大きなテーマの一つにして議論を語りました。私からは,中国の自治体のイクレイへの参加を強く働き掛ける重要性を訴え,評価を得,承認されたところであります。さらに私は,理事会と同時に開催されたエコモビリティ世界大会等にも参加し,京都において市民,事業者,行政が連携して課題解決に取り組む京都方式による環境政策や交通政策について講演をいたしましたが,多くの都市から大きな反応があり,早速水原市から京都市の先進性に学びたいとごみ減量の取組やバイオディーゼル燃料化の事業に関する調査団の受入れについて要請がありました。こうした都市間交流につきましては,京都市ではこれまでから友好都市である中国・西安市の大気環境汚染に向け,京都市の優れた公害技術を習得いただくために協力事業を実施してきております。西安市において自動車排気ガス汚染防止条例の制定,石炭ボイラー排気ガス排出基準設定計画の策定など着実な成果を上げております。引き続きPM2.5などの削減に向けた技術協力を強化してまいります。今後におきましては,来年度,京都市においてイクレイ東アジア地域理事会を開催し,環境先進都市京都の発信はもとより,国内のみならず中国をはじめ東アジアの自治体に対しイクレイへの加盟を促すなど,世界の環境政策を牽引してまいりたいと考えております。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。
○副議長(隠塚功) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕
◎教育長(生田義久) 政治への関心を高める教育の充実についてでございます。将来の社会の担い手である子供たちが政治の仕組みや役割を学び,政治と自らの生活の結び付きを学ぶこと,とりわけ最も身近な地方議会についての理解を深めることは社会へ参画する意識の高揚につなげる上で大変重要であります。小中学校におきましては,地方自治体が実施している施策や地方議会の仕組み,税金の働きなど地方自治に関する学習を通じて政治の働きを理解するとともに地方自治の主体がその地域の住民であり,自らが積極的に参加することの重要性を学んでおります。 こうした学習に当たって,関連するホームページや資料を活用した調べ学習に加えて子供たちは公共施設などを訪問し,職員に聞き取りを行うなどの体験学習を行うことは理解を深める上で非常に効果的であります。山岸議員御指摘の子ども議場見学につきましては,子供たちが市会議場の雰囲気を体験しながら市会について学ぶことができるものであり,地方議会や政治への関心を高めるうえで意義深いものであります。今後とも効果ある体験学習としての活用を各学校へ奨励してまいります。また,親子で市会について学ぶことができる親子ふれあい議場見学会や京都市会のホームページに掲載されている京都市会の歴史や仕組み,役割などについて学ぶことができる市会紹介DVDなど地方議会を身近に感じることができる有意義な取組の積極的な活用を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(隠塚功) 山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇〕
◆(山岸たかゆき議員) (パネルを示す)これは伏見桃山城の写真ですけれども,来年にこの伏見桃山城が築城50周年を迎えるということで質問をさせていただきます。 9月8日,2020年の東京オリンピック招致が決まりました。私も大変うれしく思います。オリンピックの成功と招致の際話題となった東日本大震災の復興が成就することを心より祈念申し上げます。ところで,昭和39年10月に1回目の東京オリンピックが開かれました。同じ年の3月20日,5年余りの歳月と当時のお金で6億3,000万円の巨費を投じて伏見桃山城が完成しました。そのときの模様を京都新聞から抜粋しますと,「優美華麗な桃山芸術を昭和の現代に再現した伏見桃山城の完工式は,20日午前9時半から河野建設大臣ら来賓,関係者1,200人を春雨煙る大天守閣に招いて盛大に行われた」,「式場の大天守閣正面広場には紅白のまん幕が張られ,数百発の祝賀花火を合図に府警音楽隊がマーチを演奏,華やかに始められた」とあります。この日を迎えるまでの道のりは決して平たんではありませんでした。昭和33年9月,京都商工会議所会頭の中野種一郎氏が伏見城復元を志し,京都の政界,財界を中心にそうそうたるメンバーを集めて会社を設立。34年10月に起工式を挙行。その後,資金繰りが徐々に苦しくなり工事が中断。37年9月には第二室戸台風により甚大な被害を受け重大な危機に直面しました。しかし,38年5月より近鉄が経営参加してから工事は急ピッチで進められ,ついに完成となりました。 このお城ですが,キャッスルランドという愛称から,一企業が遊園地用に造った歴史的価値のないお城という印象の方が大半ではないかと思いますが,決してそうではありません。まず,お城そのものは,史実や文献を忠実に採り入れた桃山様式で,金のしゃちほこ,朱塗りの高欄など豊臣秀吉の築城当時そのままを再現したものです。また,お城の当初の営業方針は,豊臣秀吉の偉業をしのび,桃山時代を懐古するにふさわしい施設,桃山御陵と一体を成す洛南史跡公園として来場者の期待に応え得るものとなっており,お城が遊園地用に造られたものでないことは明らかです。ちなみに,お城の完成後に遊園地が順次整備され,キャッスルランドの愛称も昭和45年10月からです。さらに,お城を建てたのは桃山観光開発株式会社,後の株式会社桃山城ですが,その際に地元の皆様から株を買ってもらい,資金集めもしました。ですから単に一企業のお城でなく,みんなのお城,伏見区のシンボルと言っても過言ではありません。 その伏見桃山城が来年に築城50周年という大きな節目を迎えます。私は,先日お城の今後を考えるには現場が大事と,お城の内部を調査しました。電気,水道が1階部分しかなく,懐中電灯で照らしながらの調査となりました。展示物を見ながら階段を上り,大天守の頂上にたどり着き,景色を眺めました。北は京都市の中心市街地,西は伏見区や乙訓地域,南は男山や天王山,三川合流地点を一望できるその眺望に大変感動しました。また,遠方からお城を見に来られた方々に会い,お城の存在の大きさを改めて思い知らされました。そのとき,やっぱりこのお城は伏見区のシンボルとして後世に残さねば,私が大天守からの眺めで受けた感動を多くの人々にも体験してもらえればと強く感じた次第です。現在の伏見桃山城天守閣は耐震基準を下回っており,一般市民の立入りができない状態です。また,天守閣内部の活用を図るには耐震補強工事に加え,電気,水道の整備やエレベーター更新などに数億円もの経費が必要です。これまで本市においてその活用が検討されていますが,いまだ結論は出ておりません。来年の築城50周年は,伏見区民,市民の財産である伏見桃山城の将来を考える機運を盛り上げる絶好のチャンスです。そこで今後の検討に弾みをつけるため,所管のスポーツのみならず文化や観光の部局,伏見区役所,更に地元が一体となり,50周年を祝う記念事業を展開すべきと考えますがいかがですか。 私自身もワークショップ・伏見をさかなにざっくばらん,通称「ふしざく」をきっかけに仲間の皆さんとお城の興味深い歴史を発掘し,伏見桃山城散策マップを作成することで,微力ながらお城の50周年を盛り上げていきたいと思います。 また,来年のNHK大河ドラマが黒田官兵衛に決まりました。豊臣秀吉の軍師で,秀吉を天下人にした功労者の一人です。当然伏見桃山城も脚光を浴びることになります。先日大河ドラマ決定に沸く黒田官兵衛誕生の地・姫路を訪問し,大河ドラマ誘致の中心人物にお会いしました。すると,黒田官兵衛は京都に色々と足跡を残しており,伏見にも幾つかゆかりの地があるとのことでした。また,「酒は飲め飲め飲むならば」で有名な御存じ黒田節,その歌詞は伏見の地で起きた出来事を基にしていることも分かってきました。そこで,来年の大河ドラマ黒田官兵衛にあやかり,その足跡や黒田節で酒どころでもある伏見をPRすることにより,京都経済,観光の活性化と共に,伏見桃山城築城50周年を更に盛り上げてはいかがでしょうか。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(隠塚功) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕
◎副市長(藤田裕之) 伏見桃山城築城50周年記念事業と大河ドラマの活用についてでございます。伏見桃山城が位置します伏見桃山城運動公園は,近畿日本鉄道株式会社から無償譲渡を受け,平成19年のオープン以降,野球場や多目的グラウンドを備えたお城のある運動公園としてスポーツや散策,憩いの場として広く市民の方々に御利用いただいております。中でも伏見桃山城は地域のランドマークとして長年伏見区民はもとより市民や観光客の皆様に親しまれており,また,映画撮影のロケ地としての活用実績につきましても,平成22年度には2件であったものが,24年度は9件,今年度はもう既に8件となっており着実に増加しております。しかしながら,天守閣につきましては,全ての階層において耐震性の基準を下回っている等の課題があることから有効な活用方法を見出せずにおりますが,山岸議員御提案の来年度築城50周年を契機にその活用の在り方につきまして,市民ぐるみで検討していく機運を高めていくという趣旨には大いに賛同するものでございます。今後につきましては,地元と伏見区役所,関係局が連携しながら,築城50周年事業をはじめ伏見桃山城の魅力を発信する取組を検討してまいります。 また,議員御紹介のように,酒どころであります伏見には来年の大河ドラマで取り上げられます黒田官兵衛のゆかりの地など歴史ファンの心をくすぐる魅力的な場所が点在しております。しかし残念なことに建築物や史跡など具体的な形が残っているものがないため,古地図を活用したマップを製作し郷土史家によるガイドツアーを実施するなど地元の皆様の協力を得た取組が必要であると考えており,大河ドラマの放映を契機に隠れた伏見の魅力を再発見し,まちづくりにつなげるとともに,京都観光の活性化にも努めてまいります。以上でございます。