京都市  平成28年  2月 定例会  03月02日-03号


○議長(津田大三) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。
 山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。
 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕

◆(山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民主・都みらい京都市会議員団を代表し,後の天方浩之議員と共に質問します。どうぞよろしくお願いします。  まずは門川市長におかれては,厳しい寒さの中での京都市長選挙,見事3期目の当選を果たされ,私たち議員団として心よりお祝い申し上げます。我が民主党も,未来の京都をつくる会に集う様々な団体とスクラムを組み,市会議員はもちろんのこと,国会議員,府議会議員,支援者が一丸となり精一杯の活動を展開しました。結果は,投票率で前回より1.09ポイント減りましたが,得票率で前回より12.4ポイント増え,共産党推薦の候補者に12万票以上の大差での圧倒的な勝利でした。これは,門川市長が2期8年の間,現地・現場主義に徹し,市民の皆様の命と暮らしを全力で守られたこと,市民の皆様との「安心・豊かさ実感」133のお約束で示された市民の暮らしに関する具体的な政策が市民の皆様に評価されたこと,さらに,府市協調,文化庁や北陸新幹線の誘致をオール京都で進められるのは門川市長以外にないと市民の皆様が判断された結果であると考えます。  昨年末,我が党は推薦決定の際,民主党が目指す京都市像を門川市長にお示ししました。向こう4年間の本市政策に我が党の考えを十分反映していただけると認識しています。本市の財政状況は依然厳しく,課題は山積しています。門川市長におかれては,本市の輝かしい未来のため,市民の皆様に安心と豊かさを実感していただけるよう,市政にまい進していただくことをお願いいたします。私たち議員団も門川市長と十分議論しながらしっかりと連携し,今後の市政を支えていく所存です。  それでは,平成28年度予算案についてお伺いします。私たち議員団は,昨年末,平成28年度予算要望書を門川市長へ提出しました。今回は京都市長選挙を経たうえでの予算となるため,市長選挙に向けて策定した民主党が目指す京都市像の今後4年間に取り組むべき八つの政策方針をベースに,合計100項目の要望としました。そのほとんどが予算措置若しくは前向きに検討との回答でした。そこで,今市会において,それらがどのように反映されているのか,今後の審議の中で確認してまいりたいと思います。  ところで,今回の市長選挙で四条通の歩道拡幅や屋外広告物の取組が話題になりました。市民の皆様の中には,残念ながら否定的な御意見をお持ちの方もいらっしゃいます。門川市長は,期間中,「伝える力,すなわち市民の皆様へ政策を理解していただけるよう丁寧に説明する」と訴えてこられました。そこで,この度の予算執行に当たって,市長の伝える力という思いをどう具体化していかれるのかお伺いします。  今市会に上程の予算案については,門川市長の3期目のスタートに当たり,平成23年度から10年間の基本計画「はばたけ未来へ!京プラン」の後半5年間の初年度として力強いスタートを切る予算,また,市民の皆様が豊かさを感じ,安心安全に暮らせるまちづくりを進め,人口減少社会の克服に挑戦する予算とされています。そして,予算の4本柱を,1,経済,雇用,2,安心安全,福祉,子育て,3,世界の文化首都・京都,4,参加と協働とされました。そのうち,本市の成長戦略を担う経済,雇用については,4本柱の第一に掲げ,主に中小企業支援と観光振興による地域経済の活性化と安定した雇用の創出がうたわれています。そこで,このような政策を力強くかつ着実に推進すれば,どれだけ京都経済の活性化や本市財政の税収増に結び付くのかを具体的な数値目標を掲げて取り組む必要があると考えますがいかがですか。  また,本市は,北米の有力観光雑誌で人気観光地の第一位に2年連続で選ばれ,世界の観光都市として注目されるようになりました。現在様々な観光,まちづくり政策が進められていますが,市民の皆様の間から,「観光客も大事だが市民も大切にしてほしい」との声も聞こえてきます。そこで,「観光による経済効果を京都経済全体に波及させ,訪れる人にも住む人にも満足度の高いまちを実現」については,両者をどう両立した予算とされたのかお伺いします。  次に,財政についてお伺いします。一般会計予算については,規模が7,277億円,前年度比3.0パーセント減ですが,中小企業融資制度預託金の影響を除いた実質的な比較では13億円,0.2パーセント増となっています。これは,社会福祉関連経費の増加にしっかりと対応し,防災,老朽化対策や保育所等の整備についても増額確保した結果とのことです。  今回も増え続ける社会福祉関連経費や施設整備,防災,老朽化対策等の財政需要の拡大に対応するため,職員数の削減や事業の見直し,資産の有効活用等により財源の捻出に取り組んでおられますが,それでは賄い切れず,目標の100億円以下に縮減したとはいえ,93億円の特別の財源対策に頼らざるを得ない状況です。  そこで,平成28年度から5年間の中期財政収支見通しでは,更なる抜本的な財政構造改革により特別の財源対策ゼロを目標としています。事業の見直し,人件費削減の更なる縮減が前提ですが,今後市民サービスを低下させず,職員のモチベーションを維持していかに取り組まれるのかお伺いします。  次にパリ協定を契機とした本市の地球温暖化対策の強化についてです。近年,日本においても,水害,竜巻,猛暑や暖冬など地球の異常な気候変動を日常的に実感するようになってきました。それらを克服するために世界が一つになって地球温暖化対策に取り組む必要性が叫ばれる中,昨年末,COP21がフランスのパリで開かれました。そして,京都議定書以来18年ぶりに新たな地球温暖化対策の世界的枠組となるパリ協定が196の国,地域の全会一致で採択されました。パリ協定は,京都議定書のように,温室効果ガス削減目標が未達成なら罰則が科される法的拘束力はありません。しかし,全ての国が温室効果ガス削減目標の作成,報告義務を負い,5年ごとに検証,更新する仕組みが設けられました。また,世界全体で今世紀後半に温室効果ガスを実質的に排出しない社会を目指すことがうたわれ,長期目標として,平均気温上昇を2度よりかなり低く抑えること,更には1.5度未満に抑える努力も明記されました。本市からも職員が参加し,自らの環境政策を世界に発信し,パリ合意の実現を強く訴えました。その際,京都議定書誕生の地から来たと分かると,世界の人々から特別な目で見られたと伺っています。私が3年前に京都市会海外行政調査でドイツ,スペインを訪れたときも同様でした。また,COP21に合わせて開催された気候変動に関する首長サミットでは,世界から1,000人以上の自治体関係者が集まり,会場は超満員の大盛況であったとのことです。地球温暖化対策は,この度のパリ協定で正に世界共通の重要課題と位置付けられ,新たなステージに進んだことは間違いありません。  翻って,本市の地球温暖化対策ですが,直近の実績である平成25年度では,エネルギー総消費量は,地球温暖化対策条例の基準年度である平成2年度に比べ約2割の削減となっており,省エネは着実に進んでいます。しかし,温室効果ガスの総排出量は約792万トンで,かえって約8万トン,1.1パーセント増加しています。このままでは条例に掲げる平成32年度25パーセント,平成42年度40パーセントの削減目標の達成は厳しいと言わざるを得ません。  そこで,京都議定書誕生の地として世界から注目され,組織の中で環境政策局を筆頭局とし,国内外で環境政策のリーダー役を務め,実際に先進的な取組を行ってきた本市として,パリ協定による新たな盛り上がりを契機に地球温暖化対策を更に強化する必要があると考えますがいかがですか。  また,本日,アンヌ・イダルゴパリ市長が本市を訪れ,この本会議場で友好と連帯の挨拶をされましたが,本市とパリ市は姉妹都市であり,平成30年には友情盟約締結60周年を迎えます。従来の産業や文化中心の交流に加え,地球温暖化対策でもしっかりと連携し,両市で世界の自治体をリードする役割を果たすべきではないでしょうか。そのことが本市の都市格向上にもつながると考えますがいかがですか。  次に,エコ学区の更なる推進についてです。本市の地球温暖化対策を部門ごとに見てみると,産業部門,運輸部門では,温室効果ガス排出量,エネルギー消費量共に減少し改善が進んでいるものの,業務部門,家庭部門では,共に増加し,更なる対策が急務となっています。そのため,業務部門では,BEMS普及コンソーシアム京都が設立され,BEMS(ビルエネルギー管理システム)の普及で省エネを進める取組が本格化してきました。一方,家庭部門では,今年度,市内全学区での実施を達成したエコ学区の取組が重要です。エコ学区とは,温室効果ガスの削減,環境に優しいライフスタイルへの転換や地域力の向上を目指し,地域ぐるみでエコ活動に取り組んでいる学区のことです。  本市は,この度の予算で3年間の支援が期限切れとなる多くのエコ学区に対し,ステップアップ事業として4,000万円余りを予算措置しました。これにより各学区の活動状況に応じて多彩なエコ活動が盛んになることを期待します。  ただ,折角市内全学区に拡大されたのなら,今後は家庭部門の中心を担い,地球温暖化対策やごみ減量等本市の環境政策を市民の皆様に浸透,推進する組織として進化させるべきと考えますがいかがですか。  それでは,ここまでの御答弁をお願いします。

○議長(津田大三) 門川市長。
 〔門川市長登壇〕

◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えします。
 この度の選挙では,民主・都みらい京都市会議員団をはじめ与党会派の先生方,支援者の皆さん,幅広い市民の皆様からの力強い御支持と御支援を賜り,引き続き京都市政を担わせていただくこととなりました。責任の重大さを厳粛に受け止め,全力で市民の皆様を主人公とした市政運営に当たる決意でございます。
 来年度の予算編成に当たり,私が重視した政策の柱は4点でございますが,その第一に地域経済の活性化と安定した雇用の創出を掲げました。具体的な取組としては,中小零細企業の活性化策や,京都が強みを持つ新産業分野の成長支援などに加えまして,好調な観光の振興を通じて安定雇用や産業振興,地域の活性化等,京都経済全体にその効果を波及させる予算として,例えば京都市認定通訳ガイドと旅行業者等とのマッチングを支援する人財バンクの構築や,伝統産業ふれあい館におけるハード,ソフトの抜本的改革を行い,観光と連携した伝統産業の振興策,地域の特色ある産品を活用した観光資源の創出事業などを盛り込みました。
 これらの施策の推進に当たっては,山岸議員御指摘のとおり,具体的な目標に向けて取り組むことが大切であり,例えば観光消費額については,平成32年度までに年間1兆円とする目標を掲げ,平成26年には対前年比で約9パーセント増となる過去最高の7,600億円を達成しました。また,企業立地促進助成制度については,昨年度までに約2,800人の雇用増,約1,000億円の投資につなげ,今年度は過去最高の20件を指定しました。京都創生総合戦略では,平成31年度までに企業立地150件,一人当たりの市民所得の成長率,年平均1パーセントを目標に掲げており,こうした取組が,将来,税収増にもつながるものと確信しております。今後とも,京都経済の更なる活性化を推進し,経済の好循環を隅々に行き渡らせることで,中小企業,零細企業,地場産業を支え,市民の皆様に豊かさを実感していただけるよう取組を進めてまいります。
 今回の選挙では,「政策はすばらしいが,その政策の理念や目標が十分に市民に伝わっていない」との御意見も頂きました。謙虚に受け止め,誠実に対処したいと決意いたしております。今後の市政の運営に当たりましては,政策の内容について市民の皆様への説明責任を果たすことにとどまらず,政策の理念や目標を市民の皆様に分かりやすくお伝えすることに,しっかりと意を注ぎ,市役所の,また市職員一人一人の伝える力を今一度磨き上げてまいります。
 次に,特別の財源対策からの脱却を目指した市政運営についてでございます。一般財源収入がピーク時から300億円以上減少し回復していない極めて厳しい財政状況の中,未来を見据えた政策を着実に推進するためには,特別の財源対策に依存しない持続可能な財政運営を確立する必要がございます。このため,国に対して地方交付税等の必要額の確保を強く求めるとともに,あらゆる政策について京都経済の活性化,市民所得の向上,ひいては税収増につながるよう総点検し再構築することで,一般財源の増加を図ってまいります。同時に,行財政改革を更に加速させ,民間にできることは民間にを基本とした委託化,民営化や,それに伴う職員の削減,さらには市民サービスの低下を招かない徹底した内部努力による事業見直しに積極的に取り組んでまいります。また,市役所の各職場において業務改善などを提案する,また実行する職員提案がかつては年間100件程度でございましたが,近年年間1,000件を超えてきております。仕事に対する前向きな意欲や改革する力は,着実に根付いてきていると実感しております。引き続き,職員の意欲と主体性を高める人事評価制度等の活用や業績を上げた職員などへの表彰を行い,職員の能力,モチベーション,また各職場のチーム力の向上に取り組んでまいります。これらにより持続可能な財政運営を確立し,今後の5年間で特別の財源対策からの脱却を目指してまいります。
 次に,地球温暖化対策についてでございます。本市では,昨年末のCOP21の期間中,パリに代表団を派遣し,パリ合意の実現に向け147万京都市民の願いを届けてまいりました。地球温暖化対策に関する人類史上初の国際的な約束である京都議定書が,今回,全世界の人々が参加するパリ協定として大きく飛躍しました。本日,アンヌ・イダルゴパリ市長も,この場でそのことを語られました。私は,このことを京都議定書誕生の地京都として誇りに思うと同時に,また責任も共有していかなければならないと決意を新たにいたしております。世界で人口の都市集中が進む今日,地球温暖化対策は正に都市問題であり,本市では,これまでから,イクレイ-持続可能性をめざす自治体協議会と連携しながら,本市の小学生向け環境学習プログラムのマレーシアでの導入,マレーシアで223校で現に導入されております。そうした世界で高く評価されている事例を発信し共有するなど都市間連携を更に進めてまいります。
 パリ協定では,初めてこうした都市の役割が明記されたことを踏まえ,本市といたしましても温室効果ガスについて,国の目標を大きく上回る40パーセント削減の達成に向け,厳しい状況の下ではありますが,太陽光発電の助成充実や水素エネルギーの普及促進など地球温暖化対策を更に強化してまいります。
 また,本日,パリ市長が京都市役所を訪問され,市会議場でお話しされたところでありますが,その前に,私と津田議長,大道副議長とで懇談させていただいた場で,同市長とは,環境分野での連携を促進することを確認したところであります。地球の未来に向けた歴史的な合意の舞台である京都市とパリ市がしっかりと手を携え,世界の都市をリードする役割を果たしてまいります。
 以下,副市長が御答弁申し上げます。

○議長(津田大三) 塚本副市長。
 〔塚本副市長登壇〕

◎副市長(塚本稔) エコ学区についてでございます。地域ぐるみで環境に配慮した活動を主体的に実践していただくエコ学区につきましては,平成25年度から3箇年計画で,市内全222学区への展開に向けて取り組み,本年1月,全学区への展開を達成いたしました。この間,各学区では資源ごみの回収など様々な環境活動に取り組んでいただきましたが,今後,参加者の拡大や低炭素社会の構築に向けた更なる取組が必要であると考えております。そのため,平成25年度までにエコ学区となった163学区については,3年間の重点支援期間が終了しても,これまでの成果や課題を踏まえ引き続き活動を支援できるよう,来年度,新たにエコ学区ステップアップ事業を創設いたします。多様な支援メニューに基づき,保育園,幼稚園,小中学校等と連携することにより参加者層の拡大を図りながら,各学区の地域特性に応じた活動分野の拡充,さらには活動の担い手の育成など,きめ細かな支援を行ってまいります。今後とも,山岸議員御指摘のように,地域の環境活動が,自分ごと,みんなごとの実践として,一人一人のライフスタイルの転換につながるよう,また,学区における継続的な組織活動として学区全体に広がっていくよう,しっかりと取り組んでまいります。以上であります。

○議長(津田大三) 山岸議員。
 〔山岸たかゆき議員登壇〕

◆(山岸たかゆき議員) 次に,伏見桃山城の今後の在り方について質問します。私の地元伏見区には,豊臣秀吉と徳川家康が天下を治めた伏見城を中心に城下町が形成されていたという大変重要な歴史があります。私は,それを切り口に,伏見のまちの活性化には,伏見城をしのんで再建された伏見のシンボル伏見桃山城の有効活用が大切と考え,ここ数年市民有志の皆様と様々な活動をしてきました。
 今年度は,7月に子供さんにも伏見城や城下町伏見の歴史を知っていただこうと,教育委員会の御協力で,子供向けに伏見・お城マップこども版を作成,授業での活用を目的にお城周辺の小学校12校に配布しました。また,9月23日には,伏見城や城下町伏見の史跡を訪ねる第3回伏見・お城マップウォーキングを実施し,過去最高の170名の参加がありました。3月6日も9時半,御香宮集合で第4回ウォーキングを実施する予定です。
 さらに,平成26年の伏見桃山城築城50周年を記念して開催した第1回伏見・お城まつりに続き,11月1日,伏見・お城まつり2015を開催,前回の約5,000名を上回り,約8,000名の方々にお越しいただきました。今回の目玉は,昨年出土した指月伏見城の発掘品の展示,ドローンによる天守閣上空からの空撮ビデオの上映,市民公募によるお城のゆるキャラのお披露目です。このほかにも多彩な催しを実施しました。その結果,346名から回答を得た当日のアンケートでは,「大変楽しかった」と「楽しかった」で前回は70パーセントだったのが,今回は95パーセントでした。これらの声に応え,今年も10月をめどに,伏見・お城まつりを実施する方向で考えています。
 こうした活動の意図するところは,伏見城の歴史を伏見のまちの活性化につなげることです。特にいまだ耐震強度問題で閉鎖されたままのお城を改修して有効活用する考え方への賛同の輪を広げることにあります。前回と同様,今回もアンケートでお城の今後の在り方について尋ねたところ,実に9割強の方々が天守閣に登れるように改修すべきと回答しています。また,「外見だけきれいにする」や「現状維持」は1割未満ありましたが,「天守閣は不要」との回答は1件もありませんでした。
 平成15年1月にキャッスルランドが閉園されて以降,お城は耐震強度問題に加え,築城50年を経過し老朽化してきていますが,改修されずに今日に至っています。そこで,耐震強化など工事には多額の費用が伴うことは承知していますが,改修を願う多くの市民の皆様の声を受け止め,今後段階的にでも伏見桃山城を改修するお考えがあるのかどうかお伺いします。
 ところで,平成26年京都観光総合調査によると,年間観光客数をはじめ主要指標のいずれも過去最高となり,本市は一大観光ブームに沸いています。しかし,日本人,外国人とも課題の上位に,電車,バスなどの公共交通機関,人が多い,混雑を挙げています。その点,伏見は南北に鉄道網が発達し,京都の中心市街地までのアクセスがよく,観光客の受入れにも余裕があります。伏見稲荷大社は,世界最大の旅行口コミサイトで人気に火が付き,連日国内外の観光客でにぎわっています。また,本市は昨年末に宇治市と観光振興等の連携協定を締結しました。以上から,今後伏見から宇治に至る観光政策の充実が課題になってきます。その際,中継点となる伏見の旧市街及び桃山地域のお酒をはじめ数多くの神社仏閣,名所旧跡といった文化,歴史資源と共に,伏見城と城下町伏見の歴史は十分観光にいかせます。
 3月の市バスのダイヤ改正で,京都駅,伏見稲荷,伏見桃山,中書島をつなぐ新路線も誕生します。私も現在,市民有志の皆様と伏見観光ボランティアガイド養成講座を立ち上げ,伏見城の歴史も含めた伏見観光ルートの開拓に取り組んでいます。このように観光振興の観点から伏見桃山城の存在価値はますます高くなっていくと思います。
 そこで,観光振興をはじめとして,お城を有効活用するため,市民を含めたオープンな検討組織を設置するとともに,有効活用を担うにふさわしい組織を定めるべきと考えますがいかがですか。
 次に,18歳選挙権を契機とした投票率向上の取組についてです。最近各級選挙で投票率が上がった話はほとんどなく,下がった話ばかりを耳にします。2月の市長選挙も前回より1.09ポイント減の35.68パーセントでした。それは全国的な投票率の推移にも表れており,国政選挙は,国民の関心度合いで毎回多少上下しますが,長期で見ると6割から7割台の投票率が今や5割台前半となっています。また,統一地方選挙は,首長,議員選挙とも回を重ねるごとに下がり続け,今や5割を切るケースもある状況です。本市の状況は更に深刻です。
 そうした中,昨年の通常国会で投票権年齢を18歳に引き下げる,いわゆる18歳選挙権の法律が成立し,この夏の参議院選挙から実施されます。既に京都市会の市会改革推進委員会でも投票率向上の取組が議論されていますが,私は,この法改正を契機に,単に若者だけを捉えた投票率向上ではなく,全世代の投票率向上に取り組む必要があると考えます。その方策として,一つは,長い目で投票率向上を図るために政治教育を充実させること,二つ目は,投票環境の改善です。
 一つ目の政治教育の充実についてです。私は,平成25年9月市会の代表質問で,「議場見学を活発にし,地方議会を身近に感じ,政治への関心を高める教育を充実すべき」と提言しました。あれから2年余りが経過しましたが,その後の進展は確認できませんでした。原因は,1,小学4年生で事前学習とセットで施設見学が設定されているものの議会は対象外であり,小学6年生で市役所も含め座学として学んでいること,2,市役所内に議会の役割や歴史などを学べる環境が整っていないことです。しかし,現場や本物を見ることは教育上とても大切なことです。
 そこで,現在,市庁舎の整備計画が進められていますが,その整備前であっても子供たちが市役所見学を通じ,議会の役割や歴史などを学ぶとともに,市政も学べるよう全庁的な観点で学習環境を整えていただければと思います。その中で,京都市政出前トークでの子供向けテーマが豊富な実績をいかし,市役所見学用カリキュラムも開発してはいかがでしょうか。また,普段見学できない貴重な場所も可能な限り見学できるよう配慮いただければと思います。また,将来市役所が新しくなったとき,子供たちが市役所や議会を現場で学べる設備の工夫ができればと考えますがいかがですか。
 次に,投票環境の改善についてです。現在,国において投票率向上のため,投票日に指定の投票所のほか,駅や商業施設など利便施設で投票できる等の法改正が検討されており,この夏の参議院選挙での適用を視野に入れているとのことです。これまで投票率を少しでも向上させようと,投票時間の延長や期日前投票の創設で投票時間の拡大が実施されてきましたが,今回は主に投票場所の拡大です。
 期日前投票では既に他の政令都市で実施されています。仙台市では,仙台駅前の商業ビルに全5区対象の期日前投票所を設置し,全投票者の約1割の利用実績が上がるまでになっています。また,千葉市では,全6区のうち2区で所在区の有権者限定で駅前商業施設に期日前投票所を設置,利用者から前向きに評価されており,今後も投票所拡大の方向で検討しているとのことです。国は,利便施設への投票所設置を義務化する意向ではなく,あくまで可能にするとの立場ですが,この際,本市としても新たな投票率向上策として,期日前投票所の利便施設への設置拡大を検討,実施してはどうかと考えますがいかがですか。
 結びに,地元要望を申し上げます。JR奈良線の複線化事業が進められており,この間二度住民説明会が開かれました。その際,特に工事中や運行後の騒音,振動に関する不安の声が多く寄せられました。いよいよ来年度から着工されるとのことですが,こうした御意見を十分踏まえ,沿線住民の皆様の生活環境に影響を与えない事業の推進を求めます。
 また,JR桃山駅では,地元の悲願であるバリアフリー化が平成27年3月の基本構想策定を経て動き出そうとしています。ただし,複線化に伴い,線路の線形を変更するためのホーム改修を行ったうえで着手するとのことです。特にお年寄りや障害者から早期の完成を望む声が寄せられています。工事の創意工夫でできる限り早期に完成するよう求めます。
 以上で私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(津田大三) 門川市長。
 〔門川市長登壇〕

◎市長(門川大作) 引き続き,山岸たかゆき議員の御質問にお答えします。
 伏見桃山城の今後の在り方についてでございます。伏見桃山城が位置する伏見桃山城運動公園は,他都市には類のないお城のある運動公園として広く市民の方々に御利用いただくにとどまらず,各種イベントや映画,テレビのロケ地としても活用されております。特に,山岸議員から御紹介がございました伏見・お城まつりは,昨年,一昨年と,多数の方が来場されており,改めて伏見桃山城が市民の皆様に親しまれていることを実感いたしました。御尽力に感謝します。
 また,本市といたしましても地元の方々と連携し,伏見桃山城をはじめとした伏見の魅力発信に取り組むとともに,伏見桃山城や伏見稲荷大社を組み入れた京都一周トレイルのルートを設置するなど,観光振興の観点からも伏見桃山城をいかした取組を行っております。
 一方,伏見桃山城の改修に当たりましては,耐震補強工事に加えまして,エレベーターや電気,水道などの設備整備に多額の経費を要することから,民間活力をいかした活用策の検討が不可欠であると考えております。今後も,積極的に民間からの活用策を募ると同時に,まずは関係部局によるプロジェクト会議を立ち上げ地域の活性化や観光振興の視点からもしっかりと議論を行い,伏見桃山城の活用策を検討してまいります。
 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。

○議長(津田大三) 塚本副市長。
 〔塚本副市長登壇〕

◎副市長(塚本稔) 市役所庁舎における子供たちが議会や市政を学べる環境の整備についてでございます。新庁舎整備につきましては,平成29年度からの建設工事の着手に向け,現在,実施設計等に取り組んでいるところでございまして,市政情報等を発信する市民スペースを充実するとともに,歴史的,文化的価値を有する議場を含めた本庁舎や,全国のモデルとなる先進的な省エネの取組や再生可能エネルギーの設備を市民の皆様に見ていただく見学コースの設定等により,市民に開かれ,親しまれる市役所として整備してまいります。山岸議員御提案の,見学にとどまらず議会を含め市政全般を学習できる環境づくりにつきましては,子供たちが分かりやすく学べるよう関係局とも十分に連携し,見学内容,また見学方法の検討を深めてまいります。以上であります。

○議長(津田大三) 吉川選挙管理委員会事務局長。
 〔吉川選挙管理委員会事務局長登壇〕

◎選挙管理委員会事務局長(吉川昌弘) 利便施設への期日前投票所の設置についてでございます。本市においては,期日前投票所を,法的に義務付けられた区役所11箇所に加え,3支所,4出張所に設置するなど投票環境の向上に努めております。最近の選挙では,期日前投票のPR効果もあり,期日前投票者数並びに投票者数に占める期日前投票者数の割合が増加してきておりますが,全体の投票率は減少しており,期日前投票者数の増加がそのまま全体の投票率のアップにつながる状況には至っておりません。なお,政令市では,各行政区単位で投票,開票作業を行う定めとなっており,商業施設などの利便施設に期日前投票所を設置し全市の有権者に利用していただくためには,本市の場合は,11行政区分の投票箱や記載台等を用意し,それぞれに投票管理者や立会人等の従事者を配置する必要があるなど課題が大きいとともに,二重投票や不正アクセス防止のための専用回線敷設等に多額の経費を要することもあり,今後,費用対効果面も含めまして,国等の動きも注視し総合的に検討してまいります。