京都市  平成29年  2月 定例会  0301日-03

○議長(津田大三) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。

 山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。

 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕

◆(山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民進党京都市会議員団を代表し,隠塚功議員と共に質問します。どうぞよろしくお願いします。

 初めに,平成29年度予算案についてです。私たち議員団は,昨年末に平成29年度予算要望書を門川市長へ提出しました。117項目の要望のほとんどが予算措置若しくは前向きに検討との回答であり,大変心強く思います。この度は,「はばたけ未来へ!京プラン」に掲げる京都の未来像の実現に向け,133項目の市長公約全てを盛り込んだ「京プラン」実施計画第2ステージを着実に前進させ,暮らしに安心,豊かさ実感,未来に責任のまちづくりを力強く推進する予算として編成されました。

 そして,予算の四本柱は,①世界の文化首都・京都の実現,②経済の活性化と雇用の創出,③福祉・教育・子育て・安心安全,④参加と協働による地域の活性化です。そのうち,世界の文化首都・京都の実現については,四本柱の第一に掲げ,京都の最大の強みである文化力を基軸として,産業・観光や福祉,教育,地域活性化をはじめとするあらゆる政策分野を融合,充実させた総合的な施策を展開するとしています。ただ,予算案の中で文化という言葉が度々登場するため,市民にその意図するところをしっかり伝える必要があると考えます。そこで,文化を基軸にして,どのように予算編成が変わったのか,また,それにより市民生活をどのように変えていこうとされているのかを分かりやすくお答えください。

 本市はこれまでも常に厳しい財政状況に直面してきましたが,昨年11月1日公表の収支見通しでは,財源不足額は349億円まで拡大し,例年になく厳しいものとなりました。それを打開する歳入増加策として本市が取り組めるのは,成長戦略などを推進することで京都経済を活性化させ,税収増につなげることです。そこで,本市の未来を明るいものにするため,京都経済をどのように活性化し,税収増を実現するのか将来の見通しも含め具体的な数値目標を交えてお答えください。

 厳しい財政状況に対応するため,今回の予算編成においても,財政構造改革の取組により財源の捻出が行われました。特に職員数の削減等で24億円,聖域のない事務事業の見直し等で48億円とかつてない大きな削減額となっています。それでも,なお147億円もの特別な財源対策が必要で,実質市債残高も増加となりました。一方,平成28年度から5年間の中期財政収支見通しは,最終年度に特別の財源対策ゼロが目標となっているため,今後相当な事業の見直し,人件費削減が想定されます。そこで,市民サービスを低下させず,職員の事務能力やモチベーションを維持して,いかに財政構造改革に取り組まれるのかお伺いします。

 次に,文化庁の全面移転を契機とした世界文化交流の活発化について質問します。昨年の3月22日は,本市にとって大変意義深い日となりました。文化庁を京都に全面移転するという政府の基本方針が決定されたからです。文化庁の移転は,京都にとって長年の悲願でした。平成14年1月,当時の河合隼雄文化庁長官へ文化庁の移転を要望し,京都国立博物館内に文化庁長官分室の設置,平成19年1月,文化庁関西分室の設置,平成27年からは移転実現に向け,オール京都で本格的な誘致活動を推進し,その努力が報われました。これから全面移転に向けての準備がスタートします。4月より,上下水道局旧東山営業所に文化庁の組織として地域文化創生本部(仮称)が設置され,本市からも職員を派遣して30数名程度の体制で発足します。ここでは,文化庁の本格移転の準備のみならず,新たな政策ニーズに対応するための政策立案機能の強化を図ることとされています。新たな政策ニーズとは,①文化芸術資源を国民,社会の宝としてより活用すること,②文化芸術の領域を広げ,新しい文化の創造を促進することです。私は,その中で京都の未来に向けて,②の新しい文化の創造が重要ではないかと考えます。京都のまちは,千年以上の長きにわたり都であり続けたのは,単に古いものを守ってきたからではなく,人々の交流が盛んで時代に合わせて柔軟に変化しながら絶えず新しいものを生み出してきたからだと思います。そうしたまちの風土の基礎にあるものを,この度の文化庁の全面移転を契機に今一度見詰め直す時期に来ているのではないでしょうか。

 昭和53年10月15日の京都市自治80周年記念式典で,本市は,世界文化自由都市宣言を行いました。これは,本市の基本構想や基本計画の上位に位置し,本市の政策の原点と言えるものです。その中に,既に今後の進むべき方向性が示されており,抜粋して御紹介します。

 「世界文化自由都市宣言。世界文化自由都市とは,全世界のひとびとが,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由につどい,自由な文化交流を行う都市をいうのである。京都は,古い文化遺産と美しい自然景観を保持してきた千年の都であるが,今日においては,ただ過去の栄光のみを誇り,孤立して生きるべきではない。広く世界と文化的に交わることによって,優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市でなければならない。われわれは,京都を世界文化交流の中心にすえるべきである」。

 御承知のとおり,我が国はここ数年,空前の観光ブームに沸いています。本市にも国内外から多くの観光客が訪れ,既存の宿泊施設では収容し切れないほど観光は活況を呈しています。この状況は今後も続くことが予想される中,文化庁の全面移転で新しい文化の創造を推進しようとしている今こそ,京都を世界文化交流の中心に据えるという世界文化自由都市宣言の思いを力強く推進すべきと考えます。その具体策として,世界歴史都市会議の中で,文化に光を当て会議を活性化させることが考えられます。昭和62年,世界の歴史都市が積み重ねてきた貴重な経験と成果を交流し,21世紀に向けた人類の繁栄と文化の向上のために,都市が果たすべき役割を探ることを目的として,第1回世界歴史都市会議が本市で開催されました。平成6年に世界歴史都市連盟が設立されてからは,京都市長が連盟の会長を務めています。以来,原則2年に一度開催され,これまで15回を数えます。過去の会議では,多くが歴史都市の保存と開発がテーマとなってきました。そこで,文化資源が豊富な歴史都市の未来に向け,それぞれの文化芸術を紹介,交流することで,新しい文化を創造する契機とすることも世界歴史都市会議の重要な取組にすべきと考えます。そのためには,政治家,行政関係者のみならず多くの文化人,芸術家,文化に関心のある市民が会議に出席し,海外の参加者と活発に交流してはどうかと思いますがいかがですか。

 また,2月より東アジア文化都市2017京都がスタートし,1年を通じて様々な行事が実施されます。この事業は,日中韓3箇国の各国政府から選ばれた3都市が,文化芸術イベントや交流により東アジアの相互理解や連帯感の形成を促進し,開催都市の文化による発展を目指すもので,平成26年に始まり,今年で4回目となります。私は,2月18日の開幕式典に出席しました。式典の後,本市,中国の長沙市,韓国の大邸広域市,それぞれからその都市ならではの民族芸能や現代芸能が披露され,会場は大変華やかで友好的な雰囲気に包まれました。そこで,この事業は元々政府の発案ですが,これを契機に両都市との文化をはじめとした継続的な交流につなげ,本格的な世界文化交流の先駆けにしてはどうかと思いますがいかがですか。まずは,ここまでの答弁をお願いします。

○議長(津田大三) 門川市長。

 〔門川市長登壇〕

◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えいたします。

 文化を基軸とした予算についてでございます。文化財や芸術のみならず,衣食住などの暮らしの文化,子供を育む文化,相手を思いやり,支え合い,共に生きる文化,自然との共生を大切にする文化,全てが京都の誇る文化力であります。私は予算編成に当たり,この最大の強みである文化力の視点を横串に,あらゆる政策について再点検,再構築いたしました。例えば,文化と産業・観光の融合について,二条城や祇園祭などの三大祭について,その魅力を奥深く掘り下げて発信し,観光振興はもとより伝統産業製品の販売促進につなげ,伝統産業の継承に結び付けます。また,子供や社会的困難を抱えた方が子育て支援施設,福祉施設等において,文化に触れ,学ぶ。そのことによって,社会参加の意欲や学びのモチベーションを向上させる取組や,地域の高齢者がボランティアとして,お一人お一人の文化力をいかされてお互いの生活を支え合う活動への支援等を通じて,市民の皆さんが文化の担い手となり,その成果が地域社会に還元され,まちや人を元気にする取組も進めてまいります。来年度予算ではこうした文化を基軸とした施策により,京都から全国の地方創生をけん引する,文化による国づくりを推進してまいります。

 次に,世界文化交流についてでございます。京都市では,昭和53年に市会の御議決を得て世界文化自由都市宣言を行い,文化と平和を基軸とした都市運営を進めてまいりました。歴史都市が果たすべき役割を探ることを目的として,京都市が提唱した世界歴史都市会議の継続的な開催も,この理念に基づくものであり,これまでから世界の歴史都市が積み重ねてきた貴重な経験と成果を,各都市の交流により共有してまいりました。世界歴史都市会議のメインテーマは,開催都市自身が決めることを基本としておりますが,歴史都市の保存と開発に関するテーマが主に設定されてきましたが,私は,歴史都市が所有する文化資源の保存と活用方法について議論することも歴史都市共通の課題であると認識しており,これまでから京都市の取組について報告するとともに,加盟都市相互の文化交流の重要性を訴えてまいりました。山岸議員の御提案も踏まえまして,会議期間中に開催されますワークショップやユースフォーラムにより多くの皆様に御参加いただき,活発な議論の下に文化交流を図っていただくことができるよう,また新しい文化を創造する契機となるよう努めてまいります。東アジア文化都市事業では,年間を通じて中国の長沙市,韓国の大邸広域市等を中心に文化交流を積極的に進めてまいります。その成果を踏まえまして,大学や芸術家など東アジアにおける交流のネットワークづくりにつなげてまいりたいと考えております。京都への文化庁の全面的な移転が決定したことを踏まえまして,現在,世界歴史都市連盟の加盟都市など国内外から大きな関心を集めております。この時期を好機として捉え,世界歴史都市会議が果たす役割を更に拡充させていくとともに,世界の各都市との文化交流を一層深めること,そのことに全力を傾注してまいります。

 以下,副市長が御答弁申し上げます。

○議長(津田大三) 小笠原副市長。

 〔小笠原副市長登壇〕

◎副市長(小笠原憲一) 私からは,行財政改革についてお答え申し上げます。地方交付税の削減等によりまして,一般財源収入がピーク時から385億円減少したまま回復していない大変厳しい財政状況にありますが,将来にわたって,福祉,子育て支援,教育,未来の京都への先行投資など,必要な施策を着実に推進していくためには,これまで以上に都市の成長戦略と財政構造改革を強力に推進し,持続可能な財政運営を確立する必要がございます。改革の推進に当たりましては,事業の見直しやそれに伴う体制の見直しも必要となりますが,市民サービスへの影響を最小限にしつつ,徹底した効率化や委託化,民営化の推進と共に自助,共助,公助の考え方の下に京都ならではの市民力,地域力をいかしたまちづくりによりまして,あらゆる主体と連携して取り組んでまいります。また,このような状況下では,職員一人一人が高い意識と意欲を持つとともに,市役所全体として能力開発や職員育成を行い,風通しの良い,創造的でかつ効率的な生産性の高い職場づくりに取り組むことが不可欠でございます。そのため,職員の能力向上と自律的な成長を支援する取組の推進や職員育成と組織の活性化を目的とする人事評価制度の深化,活用,そして働き方改革の推進などによりまして,職員の能力,人間力,モチベーションのより一層の向上,組織力の強化に取り組んでまいります。以上でございます。

○議長(津田大三) 岡田副市長。

 〔岡田副市長登壇〕

◎副市長(岡田憲和) 京都経済の活性化についてでございます。山岸議員御指摘のとおり,成長戦略を推進することで京都経済を活性化し,税収増につなげることは,極めて重要な視点でございます。このため,京都が強みを持つものづくり分野,ライフサイエンス分野などにおいて,ベンチャー・起業家等を支援するほか,観光振興の更なる推進に向けて京都市版DMOの体制強化を図るなど,京都経済をけん引する成長産業を一層振興してまいります。同時に,中小企業未来力会議における現場の声を踏まえ,そこで出されました新事業アイデアの具体化の支援,担い手確保に向けた市内中小企業の魅力発信,空き店舗所有者と出店希望者のマッチングなどにより,本市経済を支える中小企業の活性化を進めてまいります。こうした取組を着実に推進することで,一人当たり市民所得の年平均1パーセント成長や不本意非正規雇用比率を平成26年度の18パーセントから10パーセント以下にするといった産業政策上の数値目標を達成し,市民の皆様が経済的にも精神的にも豊かさを実感できる社会を実現してまいります。以上でございます。

○議長(津田大三) 山岸議員。

 〔山岸たかゆき議員登壇〕

◆(山岸たかゆき議員) 次に,熱の有効利用とバイオマス産業都市構想の推進などについて質問します。私は,京都市会海外行政調査団の一員として,4年前のドイツ,スペインでの調査に続き,昨年の10月31日から9日間の日程で省エネルギーや再生可能エネルギーによる持続可能な地域社会の実現をテーマに,2050年までに脱化石燃料,再生可能エネルギー100パーセントの国家目標を掲げるデンマークの取組を調査しました。非常にハードでしたが,都市の規模,エネルギー源,エネルギー設備など,様々な視点から調査でき,それぞれの立場で頑張っている方々の姿や熱い思いに触れることができ,大変貴重な経験をさせていただきました。また,先日の2月22日には,本会議場で報告会を開催し,多くの市民の皆様にお越しいただきました。

 さて,デンマークのエネルギー政策の歴史ですが,1973年の石油危機まではエネルギー資源の99パーセントを外国,特に中東の石油に依存しており,日本と全く同じ状況でした。しかし,石油危機を契機に,省エネと再生可能エネルギーの活用にかじを切り,例えば,主に発電所の廃熱を利用した100年以上の歴史のある地域暖房は,現在では全国で64パーセント,首都コペンハーゲンでは98パーセントの普及率です。また,電力の約70パーセントは風力,バイオマスなどの再生可能エネルギーであり,その比率は年々上昇しています。デンマークは地域暖房の高い普及率から分かるとおり,廃熱を徹底して有効利用し省エネを進めてきました。本市も,最近では1990年比約20パーセントの省エネを達成しています。これは主に市民,事業者の日頃の省エネ努力とエネルギー機器の性能向上が要因です。ただ,今後一層省エネを進めるには,熱の有効利用が重要です。ちなみに,本市クリーンセンターの廃熱によるごみ発電では,20パーセントの熱が有効利用されているのみです。そこで,デンマークの事例に倣い,大量の廃熱を出す本市クリーンセンターなどで熱の有効利用を前向きに検討してはどうかと思いますがいかがですか。

 また,昔の日本の住宅は,かの吉田兼好の徒然草にあるように,「家のつくりようは,夏をむねとすべし」とされ,夏の高温多湿な気候をしのげるよう風通しが良い一方,冬はこたつや火鉢,いろりの局所暖房に限られていました。その後,日本の生活様式は冷暖房完備の欧米型に変化してきているにもかかわらず,昔の考え方を引きずり,住宅の断熱性能は余り考慮されないまま今日に至っています。更に省エネを進めるのであれば,欧米のように住宅の断熱性能を重視する必要があります。そのことを4年前の海外調査で提言し,平成26年度,本市で既存住宅省エネリフォーム支援事業が創設されました。市民に好評ですが,取組はまだ始まったばかりで,更なる普及促進が必要です。そこで,現行支援制度の一層のPRと奨励のほか,あらゆる建物で断熱性能の向上が進むよう取り組んではどうかと思いますがいかがですか。

 次に,エネルギー事業による山間地域の活性化についてお伺いします。デンマークでは,サムソ島及びロラン島といった農村地域も調査しました。農村地域はこれまで主に農産物の生産を行っていたのが,そこから出されるワラや木材チップ,家畜のふん尿や有機産業廃棄物などを有効利用して,電力などのエネルギーを生産することで豊かになったとのことです。このように農村地域が農作物のほかにエネルギーを供給する一方,都市部はそれを消費し,富を農村地域にもたらす良き相互関係が生まれました。本市にも京北などの山間地域があり,これまで注目されなかった自然資源をエネルギー事業に有効利用して経済の活性化を図り,都市部との良き相互関係の構築が可能ではないかと考えます。そこで,山間地域再生の切り札としてバイオマス産業都市構想の具体化を進めるべきと考えますがいかがですか。

 私たち調査団は,本市の地球温暖化対策計画見直しの市民意見募集に合わせ,昨年11月30日に緊急提言書を門川市長に提出しました。その前文に「今後も引き続き世界の自治体の先進事例を学びながら,更なる地球温暖化対策に取り組む仕組みの構築に努めるべき」と指摘しましたが,市長は年頭の記者会見で,12月10日開催の京都議定書誕生20周年記念地球環境京都会議KYOTO+20(仮称)として具体化していただいたことは高く評価するものです。ただ,地球温暖化対策の取組はこれからも続きます。この会議を一過性に終わらせることなく,何らかの形で継続することが重要です。また,私は昨年の2月市会の代表質疑で,来年に友情盟約60周年を迎えるパリ協定のパリ市と地球温暖化対策で連携していくべきと提言し,市長から前向きな答弁をいただきました。そこで,この度の地球環境京都会議のような国際的な地球環境会議の継続,パリ市といかに連携していくのかについてお伺いします。

 次に,地域社会の一員として積極的に協力する子供の育成について質問します。本市の強みは地域力であるとよく言われます。地域力とは,地域の課題を地域の人たちで力を合わせて解決する力のことです。その典型的な事例としてよく挙げられるのが,明治2年の番組小学校の創設です。再来年が150周年とのことですが,都が東京に移され,京都の地盤沈下が心配される中,まちの再生は子供の教育からと,京都の復興を目指して市民の寄付等により小学校がつくられました。その番組,今で言う学区は,京都独自の地域住民の自治単位として現在も機能を果たしています。しかし,本市が誇る地域力も居住形態や生活様式の変化,少子高齢化の進行により地域住民相互のきずなが弱まり,その低下が問題となっています。そこで,平成24年4月,地域コミュニティ活性化推進条例が施行され,自治会等の加入率向上を掲げ,例えば,住宅関連事業者等と連携した自治会・町内会への加入促進や若者の地域活動への参加促進など,様々な取組が推進されています。私は,そうした取組に加え,今一度,本市を地域力あふれる活気あるまちへと再生するには,先人が番組小学校で目指したように,地域力の再生を子供の教育から行うべきではないかと考えます。

 昨年,私の所属する教育福祉委員会の他都市調査で仙台市を訪れました。仙台市は,6年前に東日本大震災で被災した政令市です。そこでは,教育基盤である地域と共に歩む学校の中心に防災教育を位置付け,目指すべき児童生徒の姿として,①災害に関する正しい知識や対応方法を身に付け,災害時に冷静に判断し,臨機応変に自らの安全を確保できる自助と共に,②災害時に進んで他人や地域の力になれること,共助を身に付けた子供の育成に取り組んでいます。こうした教育を通じて,早期から子供に地域社会の一員としての自覚を持たせ,地域のために積極的に協力できる人間を育てようとしています。また,この3月に学習指導要領が改訂され,平成30年度から段階的に教育現場で実践されます。その要点は,社会に開かれた教育課程の実現です。これは,より良い学校教育を通じて,より良い社会をつくるという目標を共有し,社会と連携,協働しながら未来の創り手となるために必要な資質,能力を育むものです。ここには社会や地域のために積極的に協力する子供の育成を重視する方向性が目指されています。

 本市では,学校教育の重点で伝統と文化を受け継ぎ,次代と自らの未来を切り開く子供という目指す子供像を実現するための一つに,社会的,職業的自立を果たす子供の育成に取り組んできました。その代表的な事例が小学4から6年のスチューデントシティ,中学1・2年と総合支援学校のファイナンスパーク及び中学2年の生き方探求・チャレンジ体験です。これは,どちらかと言うと経済社会や職業を学ぶもので,地域社会をテーマにしているわけではありません。また,地域と連携し,子供が地域活動に能動的に参加する取組として,清掃ボランティアや地元商店街やNPO等との連携による地域活性化に取り組んでいる学校もあります。しかし,それはあくまで個々の学校の判断で行われています。そこで,学習指導要領が改訂される中,今後は地域社会の一員としての自覚を持たせ,自ら地域のために何ができるのかを考え,積極的に行動する子供の育成を本市教育の重要課題に位置付け,全市的に取り組んではどうかと思いますがいかがですか。

 結びに,伏見桃山城の今後の在り方について要望いたします。昨年はNHKの「ブラタモリ」や大河ドラマ「真田丸」,指月伏見城の石垣発見,京都市による伏見城関連の様々な企画展,また,これまでの市民有志の様々な取組により,伏見区民を中心に伏見城の歴史を知り,伏見のシンボル・伏見桃山城の活用策に関心を示す人々が増えてきていると実感しています。本市におかれては,そうした状況をしっかりと受け止め,この問題に更に前向きに取り組んでいただきたいと思います。昨年の2月市会での私の代表質疑で関係部局によるプロジェクト会議を立ち上げ,地域の活性化や観光振興の観点からもしっかりと議論を行い,伏見桃山城の活用策を検討すると答弁されましたが,所管部局の見直しを含め,早期に活用策の結論を出し,次のステップに進んでいただくよう要望します。伏見区には環境関連施設が多く集積し,文化芸術施設が余り整備されていないことや,文化庁の全面移転で今後文化芸術施設の需要増が想定されることから,伏見桃山城を文化芸術に資する施設として整備してはいかがでしょうか。また,現在,近鉄所有の第3駐車場及びお城の庭園の北側部分を対象に,スポーツ施設として活用する方策について公募が行われています。お城の庭園は市民の憩いの場であることに配慮するとともに,今後のお城の活用策に影響を与えないよう要望します。

 以上で私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(津田大三) 門川市長。

 〔門川市長登壇〕

◎市長(門川大作) 引き続き,山岸たかゆき議員の御質問にお答えします。

 エネルギー政策についてでございます。本市では,ごみの焼却時に発生する熱エネルギーのほとんどを発電や場内で利用しており,現在整備中の南部クリーンセンター第二工場では,既存工場よりも更に発電の効率を高めてまいります。視察されたデンマークの事例のように,熱エネルギーを蒸気や温水のまま利用することをはじめ,発電効率の向上など,一層の有効利用につきまして,今後とも技術動向等を注視しながら研究してまいりたいと考えております。また,都市部に多く存在する地中熱などの未利用,または低利用の熱エネルギーの活用につきましても,本市の特性に応じた導入可能性を調査してまいります。

 次に,住宅の断熱性能の向上についてでございます。既存住宅の省エネリフォーム支援事業は,年間500戸以上利用され,着実に住宅の断熱性能が向上しております。今後は実際にリフォームされた方の冬場も暖かく,光熱費が安くなったなどのお声を盛り込んだPRや建築・不動産関係団体と連携したセミナーの開催など一層の利用促進に努めてまいります。さらに,新築住宅の省エネ化につきましては,本市独自で義務化も含めて検討してまいりましたが,この度,平成32年までに義務化するとの国の方針を踏まえまして,来年度から,市内事業者の省エネ技術力の向上などに取り組み,既存,新築の両面から住宅の省エネ化を推進してまいります。

 次に,バイオマス産業都市構想につきましては,森林バイオマスの活用や,京都市産業技術研究所が京都大学や民間企業と連携して取り組んでおります全国をリードする植物由来の新素材セルロースナノファイバーの開発等,構想に盛り込むべきプロジェクトの具体化を進めております。本年中には,構想を策定してまいります。

 最後に,本年12月に開催する地球環境京都会議につきましては,昨年のイダルゴ・パリ市長との環境分野での連携推進に関する確認を踏まえまして,姉妹都市であるパリ市との協調の下,京都議定書の意義やパリ協定への発展,都市による温暖化対策の成果と課題の共有等により,地球規模での対策を促進してまいります。山岸議員御指摘のとおり,このような国際会議の継続的な開催は大変重要であると考えており,国連の公式協議機関で,私が東アジアの代表を務めるイクレイと連携し,地球環境京都会議に加えまして,今後見込まれるイクレイ東アジア地域理事会の京都開催に併せて国際会議やCOP会議開催地での首長による気候サミットなどを通じて,都市間連携による地球環境問題の解決に貢献するとともに,歴史的合意の舞台となった京都,パリ両市が姉妹都市のきずなも含めまして世界の対策をけん引していけるように取り組んでまいります。私からは以上でございます。

 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。

○議長(津田大三) 在田教育長。

 〔在田教育長登壇〕

◎教育長(在田正秀) 地域社会の一員としての子供の育成についてでございます。本市では,これまでから地域社会において,自らの役割を果たそうとする意欲や態度の育成を重視し,地域行事の企画運営への参画や避難所の設営・運営訓練への参加,また地域の3,700もの企業等の協力もいただきながら,全ての中学生が勤労・ボランティア体験を行う生き方探究・チャレンジ体験推進事業など,自助,共助の精神を養う取組を進めてまいりました。そうした中,次期学習指導要領では,学校と地域及び社会が目標を共有し,より一層連携協働して学校や地域での充実した生活を通して,未来の担い手となるたくましい子供を育もうとする社会に開かれた教育課程が中核の理念とされております。これは,保護者や地域の皆様が学校運営に参画いただく京都方式の学校運営協議会の全ての小学校区での設置や,子どもを共に育む京都市民憲章の実践など,本市が先進的に取り組んできた地域ぐるみの教育が高く評価され,国においてモデルとして採用されたものであり,山岸たかゆき議員御指摘のとおり,次期学習指導要領を見据えますと,これまで以上に地域の中で自主的に行動する子供の育成が重要となってまいります。そうした観点を,全ての学校の運営指針となる来年度の本市の学校教育の重点に位置付けて取組を進め,今日的な課題である自治会加入の促進や地域コミュニティの活性化などに向けましても若い世代の参画につながるよう努めてまいります。今後とも学校運営協議会をはじめ地域各種団体との密接な連携の下,地域社会の一員としての自覚を持ち,積極的に行動する子供の育成に努めてまいります。以上でございます。