京都市 平成30年 2月 定例会 02月23日-03号
○議長(寺田一博) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕
◆(山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民進党京都市会議員団を代表し,先輩の鈴木マサホ議員と共に質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 初めに,平成30年度予算案について質問します。私たち議員団は,昨年末に平成30年度予算要望書を門川市長へ提出しました。113項目の要望のほとんどが予算措置もしくは前向きに検討との回答であり,大変心強く思います。この度は「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージに掲げる307施策全てを着実に前進させ,未来を展望し挑戦する予算として編成されました。主な重点施策の第一に,世界の文化首都・京都の実現が掲げられていることから,平成30年度についても,前年度に引き続き文化を基軸としたことが予算編成のポイントの一つとなっています。そこで,前年度の取組を踏まえ,平成30年度は文化を基軸に市民の暮らしやまちづくりを更にどのように充実させていこうとしているのかお伺いします。 また,予算編成のポイントの二つ目は,今秋導入予定の宿泊税を財源として充実・強化する取組です。事業経費37億円に19億円の宿泊税収入全額を充当し,混雑対策や民泊対策をはじめ5分野の,市民,観光客,観光関係事業者全てが宿泊税の導入効果を実感し,満足度を高めることができる施策を展開することにより,住んでよし,訪れてよしのまちづくりを加速するとしています。また,今市会では,国の住宅宿泊事業法,いわゆる民泊新法の施行に伴い,民泊の適正な運用を確保するため,住居専用地域における営業期間の制限や施設の安心安全の義務付け等を内容とする,いわゆる民泊条例が議案提出されています。いずれも今後の本市の観光施策やまちづくりに大きな影響を与えることは間違いありません。そこで,この二つの取組の導入効果を市民の皆様にも分かるようにお答えください。 ところで,本市はこれまでも常に厳しい財政状況に直面してきましたが,昨年11月8日公表の収支見通しでは,財源不足額は350億円に達し,前年度に匹敵して大変厳しいものとなりました。そのため財政構造改革により,前年度より約30億円多い121億円の財源捻出が行われました。内訳は,人件費の削減で前年度並みの23億円の一方で,事業見直しや財源の確保では,前年度より12億円多い60億円とかつてない大きな削減額となっています。また,資産の有効活用でも前年度のほぼ倍の38億円となっています。さらに,市税等一般財源収入の増で48億円,その他の歳出の減で54億円となり,合計223億円の収支不足額の改善が図られるとしています。それでもなお不足する127億円を特別の財源対策に頼らざるを得ない状況です。前年度に比べ20億円縮減となったものの,当初策定の平成28年度から5年間の中期財政収支見通しと比べると,20億円以上負担が増加している状況です。また,投資的経費も前年度に比べ198億円,中期財政収支見通しに比べ150億円と大幅に増加しています。さらに,社会福祉関連経費も前年度に比べ51億円増加しています。我が議員団としては,予算要望書の中で聖域なく全ての事業をゼロベースで見直す,税収増につなげるとした事業の効果検証,投資的経費の再度の見直しを指摘し,将来負担をこれ以上増やすことのない財政運営を強く求めました。そこで,社会福祉関連経費や投資的経費などが大幅に増加する中,将来負担をこれ以上増やすことのない財政運営に今後どのように取り組むのか,中期財政収支見通しの目標である,平成32年度に特別の財源対策からの脱却が見通せているのかをお伺いします。 次に,小中一貫教育の取組について質問します。実は,このテーマでの質問は今回で2度目です。1度目は,私が今から15年前の平成15年4月に市会議員に初当選し,11月市会で初めて代表質問したときでした。当時,本市の西京高校,京都府の洛北高校への中高一貫教育導入が大変話題となりましたが,私は,本市も含め一部地域での学習や生活面で9年間継続して子供を育成する小中連携の動きも重要ではと質問したものです。その後,本市では平成16年3月,小中一貫教育特区の認定を受け,全国に先駆けて小中一貫教育を開始,平成20年度に小中一貫教育の五つの視点を策定,平成23年度以降,全ての中学校区で小中一貫教育を展開しています。さらに平成28年3月には,小中一貫教育の五つの実践を策定し,今年度は中学校区ごとに作成した小中一貫教育構想図に基づいた実践など着実に取組が推進されています。 先月25,26日の2日間にわたり,今年で12回目となる小中一貫教育全国サミットが本市で開催されました。私も2日間参加しました。1日目は公開授業で,小中一貫教育の三つの実施形態である小・中学校がそれぞれ独立した連携型,柔軟に相互の校舎を活用した施設併用型,同一施設・同一敷地内の施設一体型の学校それぞれで実施されました。実施形態の違いはあれ,どの学校も児童・生徒の授業に臨む前向きな態度,小中の9年間のつながりを意識した分かりやすい授業を見て,教職員の方々の御尽力に敬意を表するとともに,小中一貫教育のすばらしさを改めて認識することができました。また,連携型では,小・中学校の交流として,中学生による小学生への読み聞かせ活動や中学校教員による小学生への授業が印象的でした。2日目は五つのテーマでの分科会発表,パネルディスカションの全体会です。参加者は全国から延べ3,650名で過去最高とのことでした。私はこの小中一貫教育は戦後最大の義務教育改革ではないかと思います。改革に相当な負担が伴うものの,小学校,中学校の教職員の意識改革が進み,お互い交流しながら,中学校区としての目指す子供像を実現するため,教育や生活指導の工夫,改善を図ることが子供の学びや育ちに大変良い影響を及ぼしていると思います。 そこで,まず本市として小中一貫教育をどう位置付けているのかお伺いします。小中一貫教育を通して様々な成果が表れています。例えば,子供については,中学校への進学に不安を覚える児童が減少した,いわゆる中1ギャップが緩和された,上級生が下級生の手本となろうとする意識が高まった,下級生の上級生に対する憧れの気持ちが強まったが挙げられます。また,教職員については,負担感,多忙感が課題とはいえ,指導方法の改善意欲が高まった小・中学校の教職員間でお互いの良さを採り入れる意識が高まったといった成果が認められています。一方,地域,保護者はどうでしょうか。特に連携型の中学校区では,小・中学校がそれぞれ独立しているため,小中一貫教育の意識が地域,保護者にどれだけ浸透しているのかが課題ではないかと思います。そのことは,今後中学校単位で学校運営協議会を設置し,学校と地域,保護者がしっかりと連携して子供の育ちを支えていくうえで大切なことです。 先日,我が議員団で小中一貫教育を市の重要施策と位置付けている新潟県三条市を視察しました。そこでは,児童生徒,保護者,教職員対象の全市一斉アンケート調査を毎年実施したり,各中学校区の学園呼称を募集・決定するなど,関係者に小中一貫教育に対する意識を醸成する取組を模索しておられる様子が大変印象的でした。そこで,地域・保護者に小中一貫教育に対する意識を醸成し,積極的に協力していただくために,特に連携型の中学校区においてどのように取り組むのかお伺いします。 続いて,小中一貫教育に関して要望します。平成31年4月より,伏見区向島地域に施設一体型の小中一貫の義務教育学校,向島秀蓮小中学校が開校します。過日起工式に出席の際,地元の皆様の学校に寄せる期待の大きさをひしひしと感じました。是非地元の期待に応える学校となるよう取り組まれることを求めます。一方,同じ向島地域にある向島東中学校区の連携型小中一貫校においても,向島秀蓮小中学校に通うのと同等の成果が出るような学校運営を求めます。 次に,若者の悩み相談の充実について質問します。警察庁発表の平成29年の全国の自殺者数速報値は,前年より757人少ない2万1,140人で,8年連続の減少です。しかし,厚生労働省の昨年1月から11月の年代別自殺者の分析では,20歳以上は全年代で減少したのに対し,10代の若者はかえって増加しているとのことです。そのことは京都府,本市でも例外ではなく,なかなか減少に転じない若者の自殺者数が課題です。また,昨年10月に神奈川県座間市で自殺願望を投稿した若者とSNSを通じて知り合い,次々と誘い出しては合計9人も殺害するという事件が発生しました。この事件では,大量殺人の異常性もさることながら,SNSを通じて悩みを打ち明ける多くの若者の存在が大いに注目されました。ちなみにSNSとは,人同士のつながりをインターネット上でつくるサービスで,ツイッター,フェイスブック,LINEなどがあります。総務省情報通信政策研究所の平成28年調査では,年代別のコミュニケーション系メディアの1日当たりの平均利用時間を見ると,10代・20代の若者の携帯電話利用は僅か数分なのに対し,SNSをはじめとするソーシャルメディア利用はおおむね60分と他の年代より圧倒的に長く,利用時間も増加傾向となっており,若者の主なコミュニケーション手段がSNSになっていると言えるのではないでしょうか。国においては,平成29年7月,自殺総合対策大綱を見直し,その一つに若者の自殺対策の更なる推進が掲げられ,地方自治体による若者へのSNSを活用した相談事業の支援が明記されています。 こうした状況を踏まえ,長野県では,いじめ対策や自殺防止に向け悩みを抱える若者が気軽に相談できるよう,平成29年9月に県内の全中高生約12万人に対しLINEによる相談事業を試行実施しました。その結果,僅か2週間で相談アクセス数は1,579人,相談対応実績は547件となり,平成28年度1年間の電話相談件数259件に比べ大幅に増加しました。相談内容では,電話相談と比べいじめ,不登校といった深刻な相談は少なく,学業・恋愛の悩みなど相談内容の多様化が特徴となっています。以上から,若者に身近な相談ツールとして認識されたと受け止め,今後はLINEによる相談業務の本格導入を検討するとのことです。お隣の大津市でも,平成29年11月より平成30年3月まで順次対象中学校を拡大しながらLINEによる相談を試行実施しており,全国の自治体で徐々に広がりを見せています。一方,本市においては,公設民設を問わず様々な相談窓口が設置され,子供,若者に特化したものもあります。しかし,それらの相談の通信手段は,一部でメール相談があるものの,大半は電話相談となっています。そこで,この間の国や一部地方自治体の動き,若者のコミュニケーション手段の変化を踏まえ,本市においてSNSによる若者の悩み相談に取り組んではどうかと考えますがいかがですか。 続いて,健康長寿の取組の充実について質問します。近年の健康寿命に対する関心の高まりを受け,本市においても平成27年度よりスタートしました。平成27年6月,全庁挙げての推進組織として健康長寿のまち・京都庁内推進本部を立ち上げ,平成28年5月には90の幅広い市民団体,関係機関等が参加し,市民ぐるみで健康づくりを推進する運動組織,健康長寿のまち・京都市民会議が設立されました。また,市民の皆様に楽しみながら健康づくりに励んでいただくため,いきいきポイント制も実施されています。このような健康長寿の取組を,平成25年3月策定の京都市民健康づくりプラン(第2次)に代わり,平成30年度より健康長寿笑顔のまち・京都推進プランという新たなプランに基づいて推進しようとしています。中身を見ると,地域行事に参加する,スポーツをする,食生活などの生活習慣を改善する,体力を維持向上するなど体の健康に関することが前面に打ち出されています。ところが,人は体の健康のみならず,心の健康も維持できて初めて真に健康でいられるのはないでしょうか。先日,心に悩みや過度なストレスを抱えていると,健康を損ない,人の寿命に悪影響を及ぼす研究報告がマスコミ報道されました。また,NHKの「スーパープレゼンテーション」という番組で,アメリカの心理学者が,世間では心よりも体に価値を置き,心の健康管理を重視していない,心の健康と体の健康を平等に扱うべきだとプレゼンしたところ,全世界で540万回も視聴されるほどその動画が人気を博しています。そこで,是非とも体の健康と共に,心の健康の取組,例えば,心の健康を積極的に保つ方法を普及させることなどにも十分ウエイトを置き,今後の健康長寿の取組をバランス良く推進すべきと考えますがいかがですか。 最後に,国民により身近な桃山御陵について質問します。平成30年の今年は,明治150年という大きな節目の年に当たっています。明治以降,近代国民国家への第一歩を踏み出した日本は,明治期に近代化への取組を行い,国の基本的な形を築き上げました。そこで,明治150年の今年,改めて明治期を振り返り,将来につなげていくため,国が音頭を取りながら,地方自治体や民間企業とも一緒になって様々な取組が行われています。一方,本市にとって明治時代は,都が東京へ移り,人口の3分の1が減少するなど都市衰退の危機に直面する中にあって,国に先駆け全国初の64の小学校の創設,琵琶湖疏水や水力発電所の建設,市電の開業など現在の京都の礎を築いた大変重要な時代でした。そうした先人たちの足跡を市民の皆様と共有し,今後にいかすため,1月7日のキックオフイベントを皮切りに,年間を通じて様々な記念事業が行われる予定です。私は明治期の先人たちの足跡を振り返り,そこから学び,未来の糧にすることは大変意義深いことと考えます。ただ,それが一過性に終わることなく,今後の貴重な財産とならなければなりません。その意味から,明治150年を機に注目すべきは伏見区の桃山御陵です。桃山御陵が整備されたのは,明治天皇が崩御された後ですので,大正時代ですが,明治時代の一番の象徴と言えば明治天皇ではないでしょうか。よって,明治150年に関する事業というのなら,明治天皇にゆかりのある桃山御陵が最もふさわしいのではないかと考えるからです。 桃山御陵は,敷地面積80万平米,甲子園球場21個分に相当する広大な陵墓です。桃山に広がる森林の中に明治天皇と昭憲皇太后の陵墓のほか,大手筋通から陵墓まで続く砂利道の参道や桓武天皇陵に接続する散策路があります。また,明治天皇陵の前には230段の立派な石段があります。私の事務所のすぐ近くですので,私は時々ここを訪れますが,参拝のほか,ウォーキングやハイキングなど人数は決して多くありませんが,様々な目的で桃山御陵を訪れる方々と出会います。そして木々が林立する森の中の参道や散策路を歩いていると,実にすがすがしい気分が味わえます。訪れたことがない方は是非一度お越しください。このように魅力的な桃山御陵ですが,残念に思うのは,陵墓の周りや沿道は常に手入れが行き届いているにもかかわらず,敷地の大半を占める森林エリアは,部分的に手入れされた所もありますが,エリアが広大なため,手入れが行き届いていない所も見受けられることです。さらに,参道や散策路以外は立入禁止となっています。 また,桃山御陵は,戦国時代,豊臣秀吉により初めて築かれた指月伏見城が慶長の大地震で倒壊後,豊臣秀吉が築き,徳川家康が再建した木幡山伏見城があった場所でもあります。平成24年に宮内庁の協力の下,京都府と本市で桃山御陵内の木幡山伏見城跡調査が行われました。それによると,陵墓造営時以外の大規模な改変がなく,廃城時の状況を良好にとどめているとのことです。また,当時の石垣が何箇所も残っているほか,城の土塁や土橋も確認されています。桃山御陵は安土桃山時代の頂点を極め,一時期日本の中心であった伏見城の遺跡が眠る日本の歴史上大変重要な場所であるにもかかわらず,桃山御陵に伏見城の遺跡が当時のまま残されていることは世間一般には余り知られていません。森林エリアが整備され,散策路が設置されて遺跡の近くまで行けるとなれば,それらを人々が間近で見ることができるわけです。そこで明治150年という絶好のタイミングを捉え,桃山御陵の魅力を更に体感できるよう,また,ここに伏見城の遺跡が眠っており,それらを人々が間近で見られるよう陵墓及びその周辺は当然ながら除外したうえで,森林エリアの整備や散策路の設置で国民により身近な桃山御陵となるよう国に働き掛けてはどうか思いますが,いかがですか。また,整備の際は桃山の名にちなみ,桃の植樹もお考えいただければと思います。来年は天皇陛下が退位され,本日,お誕生日を迎えられる皇太子殿下が新たに天皇に即位される年に当たっています。桃山御陵の整備が進めば,関西において皇室の存在がより身近に感じられると考えますがいかがですか。 これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えいたします。 平成30年度の予算編成についてでございます。今年は,新・文化庁の本格移転に向けた準備を加速させていく重要な年であります。そして,明治維新から150年,自治120年,世界文化自由都市宣言40周年という大きな節目の年でもあります。この機を捉え,先人達の志と偉業に学び,その意義を見詰め直し,改めて文化を基軸とする都市経営を推進してまいります。文化財や芸術のみならず,衣食住などの暮らしの文化,地域社会の中で相手を思いやり,支え合う文化,自然との共生を大切にする文化,これら全てが京都の誇る文化力であります。この強みを最大限にいかし,産業・観光の振興,地域社会の活性化,福祉・教育の子育て支援の充実につなげてまいります。とりわけ,次代を担う子供たちがほんまものの伝統文化,生活文化に触れる機会を充実し,未来の京都の文化を支える人づくりについてもしっかりと進めてまいります。 次に,宿泊税についてでございます。来年度はこの貴重な財源を活用し,観光地や市バス等の混雑対策,違法民泊の根絶,民泊の適正化への指導強化,観光地周辺のトイレの充実など,観光と市民生活の調和を図る課題をはじめ担い手の育成など重点的に対処してまいります。また,民泊関連条例につきましても,観光と市民生活の調和が図られる制度を徹底的に追求した内容としており,市民や観光客の皆様の安心安全を守りながら,更に質の高い持続可能な観光の振興を図り都市格の向上を目指してまいります。 最後に,今後の財政運営についてでございます。本市ではこれまでから財政運営の目標を設定し,財政構造改革を強力に推進しており,この10年間で市が返済に責任を負う市債残高を全会計で3,005億円,一般会計で市債残高を975億円縮減いたしました。しかし,依然として非常に厳しい財政状況の中で,本市財政の展望を持って改革に取り組んでいくため,一定の仮定の下で中期財政収支見通しを設定し,毎年の予算編成に合わせて更新し,財政規律の確保等に努めてまいっております。この間,人件費の削減,あらゆる政策分野における事業見直しなど行財政改革は着実に進めておりますが,市税や地方交付税など一般財源収入がピーク時から300億円以上も減少した厳しい状態が続く中,市民の安心・安全を守り,福祉や教育,子育て支援を充実させ,更に京都の未来への展望を開くための事業は,機を逃さずに実行することが必要があります。このような状況の下で,特別の財源対策から脱却することは容易なことではありませんが,国に対して地方交付税の必要額の確保,臨時財政対策債の廃止など,地方財政制度の抜本的改革を強く求めるとともに,更なる歳入・歳出両面からの行財政改革の徹底,都市の成長戦略と将来の担税力の向上など,今,必要とされることを着実に進めながら,特別の財源対策からの脱却を目指してまいります。 次に,若者の悩み相談についてでございます。ひきこもりなど様々な課題を抱える子供,若者については,市民ぐるみ,地域ぐるみで子供,若者を見守り,支える本市ならではのはぐくみ文化の中で,全力で支援していく必要があると考えております。このため,本市では,教育,福祉,保健,医療,雇用をつなぐ子ども・若者支援地域協議会を政令市の中でも早期に設置し,支援を実施してまいりました。とりわけ,年間500件以上の相談がある子ども・若者総合相談窓口では,顔が見える関係の下,相談員が課題の背景や家庭環境等を丁寧にお聴きしながら,支援コーディネーターによる支援や課題に応じた関係機関との連携により,お一人お一人にきめ細やかな相談支援を実施しております。山岸議員御指摘のSNSの活用につきましては,若者にとって身近で重要なコミュニケーションツールであり,今後様々な場面での活用を検討する必要が出てきていると考えております。 現在,子ども・若者総合相談窓口は,広く多様な相談に対応しており,SNSの活用により,つながりを容易に持てる一方で,SNSの匿名性から,的確な状況把握や緊急性が高い相談への対応をどのように実施するかという課題もございます。このため,まずはSNSを活用したいじめ相談窓口の設置を教育委員会において検討するとともに,若者の様々な悩み相談へのSNSの活用につきましても,先行して実施している他都市の相談窓口や国の状況を踏まえつつ,子ども・若者支援地域協議会において研究してまいります。今後とも,様々な課題を抱える子供,若者を適切に支援していけるよう,地域,関係機関等との連携を強め,市民・地域ぐるみの支援の輪を広げてまいります。 次に,健康長寿の取組についてでございます。体も心も健康であることは,日々生きがいをもって豊かな生活を営んでいくための活力の源である,私はそのように考えております。人は一人では生きていけず,心身の健康を保つためには,人との関わりや,社会との関わりを持つことが極めて大切であります。京都の強みである生活文化や地域力をいかし,家族や友人,そして地域住民の方々とつながって,自治会やボランティア活動に参加する,豊かな歴史,ほんまもんの文化に触れ,スポーツを楽しむ,それが京都ならではの真のワーク・ライフ・バランス,さらには働き方改革につながるものであります。このような考え方に基づき,これまで,こころの健康増進センターでは,市民お一人お一人が大切な人や身近な人の悩みに気付き,声を掛け,耳を傾け,必要な支援機関につなぎ,そして温かく見守るゲートキーパーとなっていただくため,延べ1万人以上の方々に養成講座を受講していただきました。また,御自身のストレス度合いを知っていただくため,本市のホームページで配信しているストレスマウンテン京都市版で気軽にチェックできる取組も行っております。来年度から,健康長寿笑顔のまち・京都推進プランにおいても,心の健康をより重視し,こうした取組を一層進化させてまいります。今後とも,心身共に健康で,笑顔で,喜びや楽しさを感じながら生活を送ることができる世界一健康長寿のまち・京都の実現に全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 桃山御陵についてでございます。京都は,千年を超えて天皇がお住まいになり,我が国の都としての歴史を刻んできた皇室とゆかりの深い地であります。この京都において,明治天皇,昭憲皇太后,桓武天皇の陵墓がある桃山御陵は,皇室の弥栄を願う京都市民をはじめとして,国民にとって遺徳をしのび,尊敬崇拝の心を寄せる大切な場所であり,山岸議員御提案のとおり,明治150年を一つの契機として,改めてその大切さを広く多くの方々と共有することは,大変意義深いことと考えております。こうした考え方の下で,御陵の現状や管理の考え方などについて宮内庁の桃山陵墓監区事務所ともお話をしてきておりますが,宮内庁は,多くの方に陵墓に関心を持って参詣していただくことを歓迎されつつも,周辺の森林エリアも含めて管理区域全体が陵墓地であり,墓地としての静安と尊厳が重要であること,また現状でも参詣路や広場への立入りは自由であることから,現状に手を加えることには慎重な姿勢を示されております。本市といたしましては,こうした宮内庁の見解も尊重しつつ,地域の方々とも連携しながら,より多くの方々が桃山御陵を訪れ,御霊の遺徳と我が国の悠久の歴史に思いを馳せていただくための取組について,引き続き陵墓監区事務所などへの相談,協議を行ってまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
◎教育長(在田正秀) 小中一貫教育についてでございます。子供たちに確かな学力,豊かな心,健やかな体を育んでいくには,義務教育である小・中学校の連続性の下で,9年間の明確な教育目標,系統的なカリキュラム,継続性・一貫性のある指導体制を教職員はもとより,保護者,地域とも共有し,小中一貫教育の取組を推進することが重要であると考えております。このため本市では,平成23年度から全ての中学校区で校区の状況に応じた小中一貫教育を実践しております。各中学校区では,義務教育9年間で育む目指す子供像を小・中学校の全教職員で共有し,合同の研修会や授業研究,家庭・地域とも連携した健全育成活動などに取り組んでおり,いわゆる中1ギャップの解消など成果を挙げてきております。山岸たかゆき議員御指摘のとおり,小中一貫教育の成果をより高めていくためには,学校と家庭,地域とのより一層の連携が大変重要であり,とりわけ,施設等が独立した小・中学校で小中一貫教育に取り組む連携型の中学校区におきましては,保護者や地域の皆様に小中一貫教育に対する意識を醸成し,積極的に御協力いただく必要があります。このため,本市の小中一貫教育を分かりやすく紹介したリーフレットを今年度中に全保護者に配布するとともに,保護者や地域と協働した取組等をホームページや学校だよりで紹介するなど,保護者や地域への一層の働き掛けを進めてまいります。そのうえで,小中学校合同の学校運営協議会の設置拡大を推進するなど,学校,家庭,地域の一層の協働による小中一貫教育の更なる充実に努めてまいります。以上でございます。