京都市 令和 元年 9月 定例会 10月01日-04号
○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。
〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕
◆(山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し,後の片桐直哉議員と共に平成30年度決算及び市政一般について質問します。どうぞよろしくお願いします。
最初に,平成30年度決算について質問します。この度の一般会計決算ですが,歳入では,地方交付税等が減少したものの,個人市民税・法人市民税を中心に市税収入が引き続き増加し,一般財源収入合計では,前年度比71億円増の4,417億円となりました。一方,歳出では,昨年相次いだ災害からの復旧・被災者支援や高齢化・子育て支援の充実で増加する社会福祉関連経費,さらに都市の成長・都市格の向上につながる投資に対応しました。また,施策推進の財源確保のため,市税等の徴収率向上,資産の有効活用等の行財政改革で歳入確保に努めた結果,実質収支で4億円の黒字を確保する決算となりました。
以上を踏まえ,幾つか質問します。本市はこれまで担税力強化の取組を推進し,個人市民税・法人市民税を中心に市税収入が増加しています。具体的にはどのような取組が功を奏しているのかと,今後の担税力強化の取組への決意をお聞かせください。
また,社会福祉関連経費が毎年増加の一途をたどり,市税収入に匹敵する水準となっています。このまま伸びることを前提とせず,中身を十分精査し,市民の痛みを極力伴わず,この経費を抑制するための方策を見いだす努力が必要と考えますがいかがですか。
投資的経費については,災害復旧費を含んではいるものの,前年度比217億円増の830億円と巨額になっています。今後の投資的経費の見込みはどうなのか,本市の財政を更に圧迫し,厳しい状況にならないのか,そのための対策は立てているのかお伺いします。
最後に,施策推進の財源確保のために,資産の有効活用や職員数の削減,効率的な予算執行など行財政改革を徹底しているとのことですが,それでもなお不足した財源を賄うため,この度も公債償還基金を67億円取り崩しています。以前は当初予算時に取り崩していても,決算時には返還し,取崩しをゼロないし少額にとどめていましたが,最近は取崩しの額が高水準で推移している状況です。このような中で中期財政収支見通しに掲げた平成32年度,すなわち令和2年度取崩しゼロは達成できるのか,また今後の財源不足の見通しと対策についても併せてお伺いします。
続いて,公営企業会計決算のうち,市バス・地下鉄事業について質問します。この度の決算では,両事業とも黒字を確保し,1日当たりのお客様数は,前年度比5,600人増の76万1,000人となりました。しかし,今後,市バス事業では,車両や設備の更新等に220億円を要するほか,委託先を含めたバス運転士・整備士の担い手不足に伴う経費増,軽油価格の更なる高騰が見込まれること,また,地下鉄事業では,車両や設備の更新等に740億円を要するなど厳しい経営見通しとなっています。
そこで,この度の決算を踏まえ,今後の課題を乗り越え,両事業の経営を健全に維持するために,どのような取組を推進するつもりなのかお伺いします。
次に,地域コミュニティの活性化を図るための,学区まちづくりビジョン策定の機運醸成と支援体制の整備について質問します。近年様々な要因から自然災害が多くなっています。大規模地震や大雨・台風等に対応するため,自助・公助はもとより,共助,すなわち地域の助け合いが欠かせません。また,防災のみならず,日常の暮らしの中でも地域の助け合いはそのまちの安心・安全や暮らしやすさを高める重要な要素となっています。そのためには地域の助け合いを盛んにする,地域コミュニティの活性化をいかに図るかが自治体の重要課題となってきました。本市もその重要性を認識し,地域コミュニティの活性化のため,平成24年4月の地域コミュニティ活性化推進条例の施行以来,自治会・町内会を応援する様々な取組を推進してきました。しかし,自治会・町内会役員の高齢化・担い手不足,核家族化・共働きの増加やマンション居住によるつながりの希薄化,価値観の多様化などにより,地域コミュニティのきずなの弱まりが懸念されています。地域コミュニティ活性化の指標である自治会・町内会の推計加入率は,平成24年度69.8パーセントから,平成30年度67.7パーセントとむしろ下がっており,目標の令和2年度,77パーセントの達成は極めて厳しい状況です。
そうした中,地域の課題を解決するため,地域の将来の姿や目指すべき方向性を地域の皆さんの手でまちづくりビジョンとしてまとめ,それに基づき取組を進め,地域コミュニティが活性化している事例が出てきています。取組動機・内容は様々ですが,現在の学区まちづくりビジョンの策定状況は,市内全222学区中,33学区となっています。私の地元伏見区においては,横大路学区,久我・久我の杜・羽束師の3学区合同,藤城学区でまちづくりビジョンが策定されています。各学区のまちづくりビジョン策定の動機ですが,横大路学区では,環境関連施設が多く立地し,主要幹線道路は集中しているものの,地域住民の生活環境は必ずしも改善されていない。また,区画整理事業が長期化している久我・久我の杜・羽束師学区では,急激な人口増加と共に,道路,交通,農業,防災,通学路の安全などの課題がある。藤城学区では,坂道が多くて道幅は狭く,公共交通機関が乏しいといった様々な地域課題を学区の皆さんで話し合い,解決していこうという強い問題意識からです。策定に当たっては,区役所・支所をはじめ関係行政の支援を受けて取りまとめ,策定後は,まちづくりビジョンを実現する組織を設け,適宜進捗をフォローする仕組みが整っています。本市では,2001年から2025年までの京都のグランドビジョンである京都市基本構想を実現するため,都市経営の基本となる京都市基本計画を10年単位で策定し,現在2期目,8年が経過しました。そこで,今年度より基本構想の残り5年間の2021年度から2025年度を計画期間とする次期基本計画の検討が進められています。
また,それと並行して,区の将来の姿や目指すべき方向性を示した各区基本計画についても検討が始まっています。このように,京都市には基本計画,各区には区基本計画があるように,住民の皆様が暮らす我がまち,エリアとしては身近な学区において,そのまちの基本計画のようなもの,すなわち学区まちづくりビジョンを住民が主体的に策定し,それに基づいて学区の課題を解決することで地域コミュニティが活性化するような取組が是非とも必要ではないでしょうか。
取組に当たって幾つか留意点があります。一つ目は,地域コミュニティを活性化させるためには,既存の自治会・町内会,各種団体のみならず,できるだけ幅広く参加を呼び掛けることです。できれば自治会・町内会に入っていない住民や新たな団体にも議論に加わっていただくよう働き掛けることが重要です。二つ目は,議論の取りまとめを区が支援することです。三つ目は,課題の解決に向けて市・区が住民と一緒に取り組むことです。
以上,自治会・町内会の加入の有無にかかわらず,学区に居住する様々な住民が,我がまちの現状と課題を一度棚卸しし,将来の姿や目指すべき方向性,課題解決策を取りまとめ共有化することで,まちづくりビジョンを自分ごと,みんなごととして捉え,市・区の支援も受けながら学区全体が力を合わせて取り組むことで,これまで以上に地域コミュニティの活性化が図れるのではないかと考えます。
そこで,地域コミュニティの更なる活性化のために,本市として各学区が学区まちづくりビジョンの策定に積極的に取り組む機運を醸成し,学区の取組への支援体制を整備することについてのお考えをお伺いします。
また,併せて1点要望します。各区基本計画については,これまで第1期,第2期と策定され,計画に掲げる各種施策を住民参加で策定する色彩が強くなってきました。そこで,次期各区基本計画においても,広範な住民の積極的な参加の下,住民の意見をできる限り反映した形で取り組むことを求めます。
次に,地域コミュニティの活性化に関連し,体育振興会並びにスポーツ推進指導員会の充実強化について質問します。体育振興会は,昭和28年,全国に類のない地域の市民生活に根差したスポーツボランティア組織として発足し,スポーツを通じ地域住民の健康増進,体力の向上はもとより,地域コミュニティの活性化に大きな役割を果たしており,市民スポーツの普及・振興の大きな原動力となっています。その一例として,来年2月16日,日曜日に9回目を迎える京都マラソンですが,大会を支える市民ボランティアが,前回の第8回大会では全体で8,100人なのに対し,体育振興会の協力が2,600人と実に3割を超えており,一つの団体としては最大の協力人数となっています。また,健康年齢を延ばし,市民一人一人の命が輝き,地域の支え手として活躍できる健康長寿のまち・京都の取組が本市の重点プロジェクトとして平成28年度から推進されています。その中で,今後地域におけるスポーツ活動を通じた健康づくりの中心的役割を期待されているのが体育振興会であり,その役割はますます重要になってきています。ところが,近年,体育振興会の組織や活動に徐々に変化が生じてきている状況です。例えば,体育振興会のメイン行事である学区民体育祭。丁度今の時期に各学区で盛んに開催されますが,5年前と現在の開催率を比較すると,平成26年度96.8パーセントであったのが,令和元年度は94.6パーセントと若干開催率が落ちてきています。また,各行政区に開催事情を尋ねたところ,資金面や参加者数が徐々に厳しくなってきており,開催に苦労しているとの声が出ていると幾つかの行政区でお聞きしました。また,市民スポーツの普及・振興における身近な指導者として,京都市スポーツ推進指導員がいらっしゃいますが,5年前と現在の全市における定数の充足状況を比較すると,平成26年度566人,86.1パーセントに対し,令和元年度は542人,82.2パーセントとなっており,24人,3.9ポイント低下しています。ある行政区では,充足率が50パーセント台という所もあり,各種スポーツ大会の運営に相当な苦労をされていると伺いました。平均年齢も平成20年度は52.1歳だったのが,平成26年度は53.5歳,平成30年度には54.5歳と上昇しています。このように組織や活動が徐々に厳しくなっている状況をこのまま見過ごしてしまうと,本市の行政運営や地域コミュニティの活性化にも影響が出てくることが懸念されます。
ところで,地域の各種団体の一つに消防団があります。近年の各種自然災害が多発する状況の下,地域における防火・防災の推進役として,これまで以上にその役割が重要になってきているにもかかわらず,数年前までは体育振興会と同様の状況が懸念された時期がありました。そのため,京都市会でも多くの議員が消防団の活性化について議論し,関係者・市民の皆様の御協力で様々な施策が打ち出されました。中でも女性や学生をターゲットに,平成27年度より入団促進に取り組むとともに,対象者が入団しやすい環境整備にも力を入れました。その結果,平成29年度から消防団員数は年々増加し,5年前の平成26年,4,269人,85.9パーセントから令和元年,4,564人,91.8パーセントと,295人,5.9ポイント伸びました。また,定員100パーセントとなった行政区まで出てきています。
9月20日からラグビーワールドカップ2019日本大会が始まり,今年から3年間,ラグビーワールドカップ,東京オリンピック・パラリンピック,ワールドマスターズゲームズ2021関西と世界的なスポーツイベントが我が国で行われるゴールデンスポーツイヤーズと呼ばれる時期を迎えています。スポーツで日本が盛り上がるこのタイミングを捉え,スポーツを通じた市民の健康づくりを進めるためには,地域で市民スポーツを支える体育振興会並びにスポーツ推進指導員会の役割は大変重要です。
そこで,これまで本市は事務局機能を発揮し,長年体育振興会並びに指導員会の活動を支えてきましたが,その組織・活動に徐々に変化が見られるこの時期に,消防団の活性化の取組も参考にしつつ,体育振興会並びに指導員会としっかりと連携し,その充実強化に本腰を入れて取り組むべきと考えますがいかがですか。
また,併せて1点要望します。来年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが,くしくも前回の東京オリンピックが開催された昭和39年に伏見桃山城が築城されました。そこで,来年,伏見桃山城運動公園を舞台に,スポーツを通じた市民の健康づくりを中心としたイベントを行い,翌年のワールドマスターズゲームズ2021関西の盛り上げを図ることも考えてはいかがでしょうか。
最後に,高齢者の生活交通を確保する取組の推進について質問します。本市は,観光地を中心とした交通渋滞,地球温暖化や景観問題等を引き起こす車社会の問題に対応するため,平成22年1月,新たに歩くまち京都総合交通戦略を策定し,人と公共交通優先の歩いて楽しいまちづくりに取り組んできました。しかし,市内全域で公共交通が行き届いているわけではなく,この間,公共交通不便地域においては,市民と連携しながら生活交通を確保するために,主に二つの取組を推進してきたところです。
一つ目は,地域が主体となったモビリティ・マネジメントによる公共交通利用促進の取組への支援です。モビリティ・マネジメントとは,自動車から公共交通へと自発的な行動の転換を呼び掛ける取組のことです。例えば,右京区南太秦地域では,地域の積極的な呼掛けが功を奏し,市バス利用者が平成19年度1日480人だったのが,28年度には1,851人と約4倍に増え,市バス70系統の大幅な増便が実現しました。また,北区柊野地域でも同様に,市バス特37系統が新設・増便となりました。
二つ目は,バス路線の維持・充実等への支援です。例えば,民間バス撤退のため生活交通が確保できなくなった山間地域の北区雲ヶ畑地域では,自治振興会が主体となり,市や国の支援を受け,平成24年4月から新たな生活交通もくもく号が運行しています。このほか,市内周辺部に位置し,公共交通が十分には行き届いていない山科区の鏡山地域や小金塚地域において,市の補助金を活用し,本格運行に向けて民間バス路線の社会実験が行われています。
また,私の地元,伏見区の藤城地域においても,先ほど学区まちづくりビジョンでお話ししたように,坂道が多くて道幅が狭く,公共交通機関が乏しいため,生活交通の確保が地域の大きな課題となり,以前から本市の支援も受けながら様々な取組を進めてきたところです。今年5月から7月の運行実験を経て,この9月より福祉施設から車両の無料貸与を受け,最寄りの買物施設までの運行を本格的にスタートさせたところです。しかし,地域が運営する事業形態では,安全性や継続性等で不安な面もあり,事業が安定して運営できるよう今後本市の力強い支援をお願いします。
以上,本市の公共交通不便地域における生活交通を確保するための取組について触れましたが,私が最近地域を歩いて市民の皆様からお聴きするのは,一定水準の公共交通機関が備わっており,余り交通の不便を感じないと思われる町なか地域にお住まいであっても,御自身が高齢のため,最寄りの公共交通機関を利用するにも大変苦労するという実に多くのお声でした。近年,高齢者の運転による交通事故の問題が相次いで大きく取り上げられることもあり,市内における運転免許の自主返納者数は,ここ数年,毎年4,000人台,65歳以上の免許保有者の約3パーセントとなっています。よって,単純計算では,高齢者のうち毎年3パーセントずつ自主返納者が増加していることになります。自主返納者は今後自動車以外での生活交通の確保を余儀なくされます。その際,公共交通にスムーズに移行できれば問題ありませんが,そうならずに健康を損ねてしまうケースも少なからずお聞きします。それを裏付けるように,車の運転をやめて自由に移動する手段を失った高齢者は,運転を続けている人と比べ要介護状態になるリスクが2.2倍になるとの研究結果を筑波大学が最近発表したとの新聞報道がありました。
以上から,高齢者が生き生きと暮らせる社会を作るためにも,生活交通を確保する取組は今後の本市における重要な課題ではないでしょうか。そこで,高齢者の実態を踏まえ,関係事業者と連携を図りながら,本市として生活交通を確保する取組を推進していただきたいと考えますがいかがですか。
以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山本恵一) 門川市長。
〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えいたします。
平成30年度決算についてでございます。市民税等が増加し,平成30年度決算は一般財源収入は71億円増加したものの,災害の復旧・支援に92億円と多額の財源を要したため,施策推進に必要な財源がなお不足し,特別の財源対策により補填せざるを得ない状況となっております。財政を持続可能なものにするためには,担税力強化が何より重要であり,これまで経済政策等を進めてきた結果,個人市民税の納税義務者数は過去最高の66万2,000人となっております。今後も例えば今日の求人難,担い手の不足や育成の課題に対しましては,地域企業,中小企業の優れたリーダーたちの知恵を融合し,本市の支援機関等が一体となり,活発に交流を行うなどの取組を力強く支援し,一つ一つの経営課題の解決を目指してまいります。また,若年層の流出や市内での立地困難の課題につきましては,持続可能な都市構造を目指し,より適正な土地利用を促すとともに,新たな産業用地の創出や企業の立地,スタートアップ・エコシステム等の醸成を推進してまいります。
社会福祉関連経費につきましては,例えば生活保護におきましても,就労支援をはじめとする自立支援施策の展開等により,保護率は5年連続して減少しており,生活保護費の予算も縮減しております。加えまして,高齢者が地域で健やかに暮らすことができる健康長寿のまちづくりを進めるとともに,保育所の民営化など,適正な公民の役割分担に基づく民間活力の導入などを行っており,引き続き全国トップレベルの福祉,医療,子育て支援,教育,安心安全を維持しながら,財政負担の増加を抑制してまいります。
また,投資的経費につきましては,京都の今と未来に欠かせない事業を進めつつ,臨時財政対策債を除く本市が返済に責任を負う市債残高を市長就任以降,全会計で3,300億円,17パーセント縮減しております。引き続き事業費の精査や有利な財源の確保により,将来世代に過度な負担を増やさないよう必要な投資を進めてまいります。
あわせて,今後公共施設の老朽化が見込まれる中,学校施設や橋りょうなどの長寿命化と質の向上,総量の適正化に取り組み,全体として経費の総額の縮減にも努めてまいります。今後の財政運営につきましては,市税が増加すれば交付税が減るという現行の我が国の財政の仕組みの下で,短期的に一般財源の急増を見込めない一方で財政需要の増加が一層見込まれます。こうした中,特別の財源対策からの早期の脱却は厳しいものがありますが,国に対しまして地方交付税や国庫補助金の必要額の確保と臨時財政対策債の廃止を強く求めるとともに,民間活力の更なる導入,行財政改革を加速させてまいります。あわせまして,この間の本市の都市格,都市の総合力の高まりを経済の活性化,市民生活の豊かさにつなげ,ひいては市税収入の増加につなげ持続可能な財政運営を確立してまいります。
次に,市バス・地下鉄事業についてでございます。私の市長就任当時危機的な状況にあった両事業の経営改善は市政の最重要課題の一つでございました。この間,市民や市会の皆様の御理解,御協力を得ながら全国的に公営・民営問わず路線バス事業の経営が極めて厳しい中,本市の市バスは系統数の増加や増車により路線・ダイヤの充実を図るなど,徹底して市民・利用者目線で攻めの経営を行い,この10年間で1日当たり5万3,000人の増と大幅な増客を実現し,平成30年度決算では5年連続で自立経営を堅持しております。また地下鉄は,絵空事とまで言われた1日5万人増客を2年前倒しで実現し,この10年間で7万人の増加となり,平成30年度決算では4年連続の黒字を確保するなど大幅な経営改善を果たすことができました。この間,人と公共交通優先の歩くまち・京都の中核を担う市バス・地下鉄において,市民・観光客の皆様の御利用が増加したことは,自動車分担率の低下にも大きく貢献し,SDGsの理念にもかなうものと考えております。
しかし,山岸議員御指摘のとおり,今後10年間で市バスは全体の6割を超える530両の車両を更新しなければならず,年間の更新台数がこれまでよりも大幅に増加し,また地下鉄でも新型車両への更新や両線の設備更新もあり,両事業合わせて1,000億円もの多額の費用を要するほか,バス運転士・整備士の担い手不足など極めて厳しい経営環境に立ち向かっていかなければなりません。今後とも,これまで以上に危機感を持って不断の努力を重ねるとともに,持続可能な社会を目指すSDGsの観点も踏まえまして,事業の根幹である安全・安心を最優先に,バス待ち環境の向上やICカードを中心とした御利用しやすい乗車券制度の構築など,質の高い便利で快適なサービスを提供するとともに,市民の財産である市バス・地下鉄の経営状況を分かりやすく市民の皆様に発信し,市民ぐるみで更なる御利用の機運を高め,お客様目線に立った更なる利便性向上による増客・増収を図り経営の健全化に全力で取り組んでまいります。
次に,学区まちづくりビジョンについてでございます。京都には,地域に誇りを持ち,地域の課題は地域で解決していくという自治の伝統が脈々と受け継がれておりますが,一方で,その基盤となる自治会・町内会等の担い手の多くが高齢化や担い手不足など厳しい状況にあることも事実でございます。このため本市では,京都市地域コミュニティ活性化推進条例を制定し,地域コミュニティサポートセンターの開設・運営や地域に寄り添った支援を行うまちづくりアドバイザーの配置,マンション建設・宅地開発時の転入者地域交流支援制度の拡充など様々な取組を進めてまいりました。山岸議員御指摘の学区まちづくりビジョンにつきましては,これまでに33の学区において住民の皆様の発意に基づき,ワークショップの開催やニュースレターの発行等を通じて地域課題や将来像を共有されたうえで策定され,地域の特徴あるまちづくりにつながっております。具体的には30代・40代の若手チームによる担い手づくりの取組や住民が老人福祉施設と連携して高齢者の買物をサポートする取組をはじめ,防災・減災や安心・安全,子育て支援,空き家対策といった地域課題を解決するための新たな活動にも取り組まれております。今後とも各地域の様々な状況に応じまして,区役所・支所や地域コミュニティサポートセンター,まちづくりアドバイザーが連携し,学区まちづくりビジョン策定を通じた地域の主体的なまちづくりをしっかりと応援してまいります。
以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(山本恵一) 村上副市長。
〔村上副市長登壇〕
◎副市長(村上圭子) 引き続きまして,体育振興会・スポーツ推進指導員会についてお答えいたします。両団体は京都を発祥の地とする全国に誇る市民主体のスポーツ活動推進団体でございます。京都市では,毎年体育振興会の皆様の御尽力により多くの学区で体育祭が開催されており,本市最大の市民スポーツ大会である市民スポーツフェスティバルにも毎回約7,000人の方々に参加いただいており,その準備や審判などに御尽力いただくスポーツ推進指導員も約400名を数えます。さらに,市や各行政区で行われる各種のスポーツ事業は,年間延べ約3,500名もの指導員の方々の活動に支えられており,京都マラソンにおきましても両団体に多大なる御協力を頂いておりますが,山岸たかゆき議員御指摘のとおり,近年,高齢化や担い手不足など活動の環境は厳しさを増していると伺っております。両団体が引き続き充実し,活発に活動していただくことは,市民の健康長寿に資することはもとより,地域コミュニティの活性化にとりましても極めて重要でございます。
折りしも,ゴールデン・スポーツイヤーズが幕を開け,とりわけ2021年のワールドマスターズゲームズ関西ジャパンは,おおむね30歳以上なら誰でも参加できるため,生涯スポーツの機運向上に大きく寄与することが期待されております。本市といたしましてもこの機会を捉え,若者や子育て世代など,これからの地域社会を支える世代が,これまで以上に参加しやすいスポーツ事業を展開するとともに,両団体の活動を広く発信するなど,スポーツ活動の担い手確保へとつなげてまいります。加えまして,消防団の取組も参考に体育振興会の活性化や指導員の増加に向けまして,両団体によります創意工夫に満ちた様々な取組を全力で応援してまいります。以上でございます。
○議長(山本恵一) 鈴木副市長。
〔鈴木副市長登壇〕
◎副市長(鈴木章一郎) 高齢者の生活交通についてでございます。本市は,市バスや地下鉄,民間バス,鉄道事業者などの交通事業者が相互に連携・補完し合い,発達した公共交通網が形成されているまちであります。また,地域ごとの実情に応じた公共交通網の充実に向けて,歩くまち・京都総合交通戦略の下,モビリティ・マネジメントによるバス路線の拡充に向けた取組や,地域の自治組織自らが主体となってバスを運行する取組など,地域住民の皆様,交通事業者,関係行政機関が連携した全国のモデルとなる先進的な取組も行っております。しかしながら,長寿社会の到来を迎え,高齢者の方にとっての最寄りの駅やバス停までの移動,いわゆるラスト・ワンマイルへの支援が求められていることは,山岸たかゆき議員御指摘のとおりであります。
本市といたしましても,福祉タクシー・介護タクシー等の福祉移送サービスや,地域を挙げて取り組んでおられます生活交通の導入などの本市として実績のある取組に加えまして,誰もが安全かつ容易に運転できる次世代型の電動車椅子などのパーソナルモビリティの開発・普及など,交通弱者に対する様々な取組の事例についても研究いたしております。今後とも,将来にわたって公共交通網をしっかりと維持・継続するとともに,地域住民の皆様や交通事業者,企業等のノウハウと力を結集し,新たな技術の活用も視野に入れまして,高齢者お一人一人が歩く暮らしを大切にし,幾つになっても生きがいを持って生き生きと地域で活躍できる健康長寿のまち・京都を目指してまいります。以上でございます。